この頃、自分のことが心配でしょうがない。
思わず、「ワタシ、なんだかヤバイなあ…」と、つぶやいていたりする。
このままいくと、この「ヤバイなあ」のストレスのせいで、自分が本当に「ヤバイことになってしまいそう」だ。
というのも、この頃の自分の「忘れっぽさ」が、これまでとは、なにかが違う。「えっ、なんで、こんなことまで忘れるの!」と思い、自分でびっくりする。
むろん、対策はしている。
手帳を持ち歩き、約束事をしたり、予定が変更になったりするたびに、すかさず手帳に書く。
もうなんでも書く。
さらに、毎晩、寝る前に翌日の予定をチェックし、朝、目覚めたら、その日の予定を確認する。
そう決めている。
こんなふうになかなかに努力をしている、と思うのだけれど、その習慣が身につかない。このままいくと、自分で自分に絶望しそうだ。
だからといって、愚痴などを言えば、「もう、仕事なんかやめればいいじゃない、のんきに暮らせばあ」と言われる。
けれど、けれど。会社に勤めたことがない私だ。国民年金だけを受給している者なのだから、働けるうちは、働かねば。そうすることが当たり前と思って、ここまできた。
でも、周りに聞いてみると、きちんと老後資金のことを考え、準備万全でここまで暮らしてきたのよ、という人が多い。
つまりどうにかなるじゃん、という私のいいかげんさがまずかったようだ。
これからは、もっとチャンとしようと思う、自分でなんとかすべく頑張ろうと思う。
というと、どこからか、「あなたにできるかなあ」という声が聞こえてくるような気がする。(ノンフィクション作家 久田恵)
ひさだ・めぐみ
昭和22年、北海道室蘭市生まれ。平成2年、『フィリッピーナを愛した男たち』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。介護、子育てなど経験に根ざしたルポに定評がある。著書に『ここが終の住処かもね』『主婦悦子さんの予期せぬ日々』など。