27日に投開票される衆院選で、自民党の石破茂総裁は地方重視の姿勢を一貫して打ち出している。地方の人口減少を論じる際、課題として上がるのが東京一極集中の問題だ。関西の経済に詳しい大阪経済大経済学部の下山朗教授(地方財政)は、日本の経済力や大規模災害への対応力を高めるためにも東京以外の場所に「核」を作ることは大切だとし、「大阪や関西圏には東京一極集中を少しでも食い止める価値が期待されている」と指摘する。
下山氏は東京一極集中について「大阪や関西圏の、特に経済的な価値が徐々に低下しているということだ」と説明。関西の強みとして、製造業でのアジア圏との経済的取引を挙げ、「そうした産業を守り育てることが、結果的に関西の価値を高めることにつながる」と強調した。
下山氏によると、関西が東京とは異なる魅力を発揮できるのが、観光業だ。下山氏は「関西全域の多様な魅力を知ってもらうには、2025年大阪・関西万博を十分に利活用しなければならない」と指摘。特に大阪以外の関西圏の地域が万博で魅力を伝えて誘客し、リピートまでつなげるべきだとして「万博が(関西圏の)停滞を脱する試金石になる」と主張した。
また、「関西には魅力的な文化や素地がある」と下山氏。関西の魅力や経済力を高め、「住んでいることが自慢だといえる地域になることが、東京一極集中を食い止めることにつながる」と話した。(前原彩希)