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財布痛まぬ「ポイント運用」で投資をお試し NISA始める前に値動きに慣れよう なっトクマネー

産経ニュース 2024年9月18日 8時0分

そろそろNISA(少額投資非課税制度)で資産運用をと思いながらも、株価下落が怖くて、躊躇(ちゅうちょ)する-。それならば、買い物などでたまるポイントを元手にした「ポイント運用」で値動きに慣れてみてはどうだろう。株式や金などの金融商品に連動してポイントが増減し、資産運用を小さく体験できる。経済に興味を持つにはうってつけだ。

高校生が授業で体験

「みんなで今日、投資家デビューしましょう」

東京タワーを望む都内の会議室で、9月初旬、ポイント運用で投資を疑似体験する出前授業が行われた。静岡県富士市立高校の1年生28人を前に冒頭、講師を務めたPayPay(ペイペイ)証券の斎藤理緒さんが、こう呼びかけた。

QRコード決済「PayPay」では、買い物で決済するたびに1ポイント1円相当のポイントが付与される。さらに、たまったポイントは、株式や金などの金融商品に連動して増減する「ポイント運用」に活用できる。

授業では、生徒が2人1組となり、仮に付与された3000ポイントを半年間運用する想定で、①米国を代表する500社②IT系中心の100社③金(ゴールド)-など5コースのどれに投入するかを考えた。生徒は、期間中にポイントがどれくらい変動するかを体感。リスクも理解した上で、斎藤さんは「投資は怖い、難しいというイメージが変われば」と話した。

気軽に始めて練習できる

投資との決定的な違いは元手が現金ではなくポイントであることだ。目減りしても、自分の財布が痛まない。

PayPayのほか、楽天ポイント(サービス提供は楽天グループ)、Pontaポイント(同KDDI)、dポイント(同NTTドコモ)などで導入されている。用意された数種類のコースから選んでポイントを預けると、選んだ金融商品に連動してポイントが増減する。

ファイナンシャルプランナーの阿部理恵さんは「運用に失敗してもポイントが減るだけで、自分の現金が減るわけではない。気軽に始められて投資の練習になる」と説明する。

さらに投資では必須となる証券口座の開設が不要で、初期手続きはスマートフォンで完了する。運用先も少数に限定されており、経済に疎くても選択しやすい。

「ポイント運用で〝お試し〟すれば、全く投資の経験がなくても『投資とはこういうもの』と感覚的に理解できる」(阿部さん)

段階的に現金の投資に移行も

ポイント運用と混同されがちなサービスに「ポイント投資」がある。投資の疑似体験であるポイント運用に対し、ポイント投資はポイントを現金に換算して実際に金融商品を購入する、投資の一種。言葉は似ていても中身は全く異なる。

ポイント投資では、現金も原資に追加できる。最初に証券口座を開設する必要があり、金融商品の売買には手数料がかかることが多い。売却代金は現金で受け取る。ポイントのみの運用から、少しずつ現金を足して投じる-という形で始めてみると、心理的ハードルは低くなるだろう。

「PayPay証券で証券口座を開設した人の9割以上がポイント運用の経験者。ポイントを入り口に経験を積み、資産運用へとステップアップするケースがほとんど」(同社広報担当)という。阿部さんも、「ポイント運用中に株価のチャートを見る癖をつけると現金の投資に移行する準備になる」と説く。

とはいえ投資に騰落はつきもので、必ず増えるわけではない。さらに、投資全般に関して「SNSを使った投資詐欺や金融トラブルは増えている。投資にローリスクハイリターン(低リスクで高利益)はない」と斎藤さん。ポイント運用で練習しつつ、こうしたリスクへの理解も深めよう。(田中万紀)

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