第94回「都民の警察官」表彰式が21日に行われるのを前に、受章が決まった5氏の経歴などを紹介する。
「魅力的に映った」
「休日にも気が付くとヘリコプター関連の本を手に取っている」
子供の頃から大のヘリ好き。航空大学校で学び、災害の救難救助や事件捜査、警備など任務が多様な上、所有する機体数、機種も多い警視庁が「魅力的に映った」。
平成10年に入庁し、操縦のライセンスを持っていたこともあり12年、念願の航空隊に配属される。以来、約24年半にわたり、航空隊の操縦士として勤務を続けている。
令和元年10月、日本列島を縦断した台風19号で被害を受けた福島県に派遣された。ヘリを空中で静止させるホバリングをしながら、冠水した住宅のベランダから男女3人をつり上げて救助した。
「高い位置でホバリングすると機体が静止しているか分かりにくい。動けば救助の成否にも関わるので集中力が求められた」と話す。動いていることに気付いて戻そうとすれば、逆に大きく動いてしまうこともあるため、技術と経験が必要という。
ヘリは操縦士だけでなく、副操縦士や整備士、地上を見るカメラや救助の際につり上げる機材の操作を行う担当者らが同乗する。「チームとして一丸となることが第一」と、息を合わせることの重要さを強調する。
また、中型以上の操縦には、機種ごとに異なるライセンスを取る必要があるため、「いろいろな機体を操縦できるように」と50歳を過ぎても新たな機種のライセンス取得に余念がない。試験が近づけば、休日も勉強に費やされる。そのため、普段の休日は「家事を手伝ったり散歩したりしている」ことも多いが、出先で飛んでいるヘリがあれば思わず目が向いてしまう。
常に意識するのは「初心忘れるべからず」。「自分が未熟であることを忘れてはいけない」と戒める。年に1回、身体検査を受けなければならないため、健康管理にも人一倍気を使う。
受章を受け、家族からは祝いの言葉とともに、「隊の皆さんにお礼を言わないとね」とも言われた。自身も「今回は航空隊が表彰されたものだと思っている」と受け止め、「お返しができるよう、学んできた知識や技術を後輩にも伝えていきたい」と力を込めた。(橋本昌宗、写真も)
プロフィル
かわむら・ひさし 平成10年入庁。小金井署を経て12年から一貫して航空隊所属。家族は妻と娘2人。娘にヘリの操縦を勧めてみたが、「そんなに責任の重い仕事はできない」と断られてしまったという。