11月23日は勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝しあう国民の祝日「勤労感謝の日」だ。だが、この日は、日本記念日協会(加瀬清志代表理事)が認定した記念日だけで30近くある日でもある。その一つが「いい夫妻の日」。いい(11)ふさい(23)という語呂合わせで、ブライダル業界大手アニヴェルセル(横浜市)が令和2年に登録申請し、認定された。同協会が認定した記念日だけでも約2800ある。一般に知られていない記念日の意義と効果とは-。
毎年祝日のメリット
「いい夫妻の日をきっかけに、パートナーに素直にありがとうとか、ごめんねとかの言葉を言える日になればと考えています。そうしたきっかけのひとつにしてほしい」
記念日制定に直接携わった同社広報室の梁原由寛さん(33)はそう語る。同社名のアニヴェルセルはフランス語で記念日の意味。同社は結婚式を含め、記念日のプロデュースを社業としている。
いい夫妻の日は語呂合わせもあるが、祝日のため結婚式を挙げるケースが少なくなかった。その上、現場スタッフの間では当日、結婚式を挙げる人に「いい夫妻の日ですね」という声掛けも多かったという。
また、前日の11月22日が「いい夫婦の日」に既に認定されており、認知度への懸念はあったものの、11月は結婚式のニーズが多い時期であり、さらに23日が「毎年祝日でお休みの日」という利点もあることから、記念日を同協会に申請、認定された。
年間200件の申請
同協会の加瀬さんによると、記念日を登録される件数は年間約200。既に累計で約2800の記念日が認定されている。1社で10~15の記念日を制定している企業もあり、例えば大手食品メーカー「明治」は16件もの記念日登録がある。
企業や団体が記念日を制定する意義について、加藤さんは「記念日によって、消費者に製品の良さだったり、企業の歴史を知ってもらったりできる。つまり企業側には社会的認知を得られ、ビジネスチャンスにもなります」とした上で、「もう一つの効果は、社内のモチベーションをあげる効果が期待できることです」と指摘する。
つまり、製品や企業が社会的に認められることで、働く人がさらに良い製品づくりを目指したり、その会社に勤務することに誇りを持てたりする効果があるのだという。
感謝の気持ちを伝える契機に
梁原さんは「いい夫婦の日に比べると、いい夫妻の日の認知度はまだまだ。でも、そこもまたチャンス。(認知が広がる)可能性を感じている」と語る。
実際、記念日を3年連続で当日にイベントを打っているが、年始めから11月23日に行うイベントを社員が企画。今年は11月初めから、全国10店舗のエントランスに、いい夫妻の日をアピールし、さまざまな活用法ができることを記した展示物を設置しており、これは同社役員からの提案だ。その上、記念日事業のことを知って入社を希望するスタッフもいるという。
いい夫妻の日は勤労感謝の日と同じく、「夫妻が相手を尊び、互いに感謝する日」との思いが込められている。梁原さんは「感謝の気持ちって、相手になかなか伝えられないと思います。いい夫妻の日を契機に、当事者の夫妻だけでなく、例えば、家族や結婚前のカップルとか、それぞれの立場で絆を一層深めてもらえるようになれば最高です」と話している。
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記念日 日本記念日協会によると、今年11月現在で、記念日に登録されているのは約2800件。このうち、有名なのは11月11日の「ポッキー&プリッツの日」。食品メーカー江崎グリコが製品の形が数字の1に似ていることから、平成11年11月11日に制定された。4月15日の「からあげクン誕生日」は冷凍食品大手ニチレイフーズが製造し、コンビニエンスストア大手ローソンが販売する人気のからあげの誕生日。同じ日が複数の記念日になっていることは多く、8月8日、10月10日は60を超える記念日の多い日。11月23日の記念日は計27ある。