アマチュア落語家の全国大会「社会人落語日本一決定戦」が大阪府池田市の市民文化会館アゼリアホールで開かれ、「呆(ぽ)っ人(と)」の高座名で出場した神戸市兵庫区の鍼灸(しんきゅう)マッサージ師、宮永真也さん(46)が優勝し、16代目名人に輝いた。
宮永さんは創作落語「こってまんな」を披露。鍼灸マッサージ師と個性豊かな客との掛け合いに、客席から大きな笑いが起こった。優勝が決まると「実感がわかないが、優勝するつもりだった」と力強く語った。
視覚障害がある宮永さんは「カラオケの歌詞を暗記できるなら、落語もできるのでは」と15年前から落語を始めた。同大会には10回以上出場を重ね、5年前には決勝の舞台を経験。そのときは突然、セリフが飛んでしまい「頭が真っ白になった」と振り返る。
今回のネタは、新型コロナウイルス禍で高座に上がれない中で「ふと思いついた」といい、何度も練習して磨きをかけた。
大会は「池田の猪(しし)買い」「池田の牛ほめ」といった古典落語の舞台の同市が「落語のまち」をアピールしようと平成21年から開催。今年は国内外から339人の応募があり、事前審査を通過した162人が予選会に出場し、10人が決勝大会に勝ち上がった。
審査委員長で落語家の桂文枝さんは「リアリティーのある描写が優れていて、面白い発想でネタが作り込まれており、社会人落語らしい作品に仕上がっていた」と説明した。