かつてはハロウィンの〝聖地〟と呼ばれるも、迷惑行為が問題化し、今年は例年以上に厳戒態勢が敷かれた東京・渋谷。一夜明けた1日朝、お笑い芸人でごみ清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんらボランティアによるごみ拾い活動に同行した。かつては、ごみの散乱が問題となっていたが、自主的なごみ拾い活動も広がり、状況は改善されつつある。
ハロウィンで注目を集めた渋谷駅前は朝になると、通勤客が行き交ういつもの光景があった。ハチ公広場前には、ごみ集積所が設置され、周辺に目立つようなごみはほとんどみられなかった。
ハロウィンのごみ対策として、渋谷駅前周辺に集積所を設置し、ごみの回収や清掃用具の貸し出しなどを行う「渋谷ごみゼロ大作戦」事務局の中島悠さんによると、今年はごみ拾いに参加するボランティア団体が増え、企業や大学、ユーチューバーの呼びかけで集まったグループなど、30団体が参加したという。ハロウィン当日には、X(旧ツイッター)やユーチューブで、投稿者がごみ拾いを行う様子も相次いで発信されていた。
この日は、滝沢さんが主催し、ごみを減らすための活動を行う「滝沢ごみクラブ」と傘のシェアリングサービス「アイカサ」との共同企画で、滝沢さんとクラブのメンバーや一般の参加者ら約30人が朝7時からごみ拾いを行った。滝沢さんは、現役の清掃員としてSNSでごみの分別方法などを発信しており、この日も、参加者からの質問に答えたり、談笑しながらごみ拾いを行った。
自粛要請やボランティアによるごみ拾いが功を奏し、ハロウィン関連のごみは多くなかったが、歩道橋の上にファストフードの包装紙や紙袋が散乱していたり、アルコール飲料の空き缶やたばこの吸い殻が散乱する路地もあった。
注射針や尿のような黄色い液体が入ったミネラルウオーターのペットボトルも見つかり、参加者らが顔をしかめる場面もあった。
「尿がペットボトルに入っている場合、ガスがたまり、ふたを開けると噴き出すこともある。だからごみ収集のときも、尿の可能性がある場合、回収できないんです」と滝沢さんは説明する。
仕事の前に参加したという世田谷区に住む会社員の女性(42)は、「事業ごみの場所に家庭ごみも捨てられていてルールが守られていない」とし、今回の取り組みをきっかけにごみ拾いを続けていきたいと話した。
滝沢さんは、「ごみがごみを呼ぶ。ごみがない場所は捨てにくい。きれいな状態を維持していくためにも、こうしたごみ拾いの活動が重要だし、『ポイ捨てはしない』っていう」意識が広がってほしい」と話した。(本江希望)