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440年以上続く東京・世田谷「ボロ市」 掘り出し物を前に童心に帰る大人たち 現着しました!

産経ニュース 2025年1月11日 9時0分

毎年1月と12月の15、16日に開かれる東京・世田谷の「ボロ市」。毎回全国から古着や骨董品などを扱う露店が集まり、多くの買い物客でにぎわう。戦国時代から440年以上続く世田谷の冬の風物詩、ボロ市を訪ねた。

1日20万人

時折、肌寒い風が吹きつける昨年12月16日、世田谷区世田谷の通称「ボロ市通り」は掘り出し物を買い求める人たちの熱気に包まれていた。1日約20万人が訪れるというボロ市。平日のこの日も、通りは朝から老若男女であふれ、人とすれ違うのがやっとなほどの盛況ぶりだった。

沿道に軒を連ねる約600の露店では、年季の入った古着や骨董品、昔懐かしい玩具などが手軽な価格で販売されている。大人たちが童心に帰ったように目を輝かせ、品々を見つめている。

都内で飲食店を経営する40代の男性は、漆器や木箱などが並ぶ古物店で長らく足を止めていた。視線の先にあるのは、昭和初期に薬箱として使用されていたという引き出し式の木箱。手に取っては置いてを繰り返し、悩んだ末、2箱を購入した。男性は「99%いらない物だと分かっていても、少しでもビビッとくれば買ってしまう。それがボロ市」と思わず苦笑い。吟味して手に入れた木箱は「店の伝票を入れるのに使います」と話した。

時代とともに変化

ボロ市の歴史は古く、天正6(1578)年に当時、関東地方を治めていた北条氏政が楽市を開いたのが始まりとされている。明治期に着物の継ぎに使うボロが盛んに売買されたことからその名がついたが、近年は雑貨や植木などが多く売られており、並ぶ商品も世につれ変化してきた。

つば職人・山崎隆司さん(86)が手作りする透かしの入ったつばが売りの「現代鐔工隆剣(げんだいつばこうりゅうけん)」は40年以上にわたって出店してきたが、ご本人の体力的な負担を理由にボロ市での営業が今月16日で〝最後〟となる。山崎さんは「最初のころはござを敷いて出ていた。それからずいぶんたくさんの人に来てもらって。寂しいけど最後まで頑張りたい」と感慨深そうに語った。

グルメも充実

ボロ市はグルメも充実している。名物の「代官餅」(あんこ・きなこ・からみ/各1000円)は、食べると縁起が良くなる餅として知られるが、人気のあまり、最長3時間待ちの行列ができることもあり、幻の餅ともいわれている。記者は午前10時半から1時間半ほど並んで、初めて見た「からみ」を購入。地域住民約60人が早朝から手作りしているそうだが、からみは、餅にすりおろした辛味大根がかかり、酒のつまみにもいける味付けでおなかもいっぱいになった。

ほかにも、「おでん」や「タンシチュー」を販売している店もある。買い物ついでにぜひ味わってほしい。(塚脇亮太)

開催時期:1月と12月の15、16日 午前9時~午後8時

アクセス:東急世田谷線上町(かみまち)駅または世田谷駅より徒歩3分、東急バス・小田急バス上町または世田谷駅前停留所より徒歩1分

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