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「遺品あってうれしい」旧日本兵の日章旗、遺族のもとに 英兵の孫がNPO通じ返還

産経ニュース 2024年7月14日 18時47分

昭和20年にビルマ(現ミャンマー)で戦死した京都府出身の旧日本陸軍兵、岡部辰美さん=当時(30)=が戦地で所持していた日章旗が14日、大阪市内の遺族に返還された。終戦から今年で79年。戦地から日章旗を持ち帰った元英国兵の孫が米国の団体を通じ持ち主を捜していた。遺族は「本当に感謝しています」と喜んだ。

戦没者の遺品返還に取り組む米オレゴン州のNPO「OBONソサエティ」によると、辰美さんは旧陸軍歩兵60連隊の伍長で、20年6月にビルマで戦死。日章旗は縦73センチ、幅90センチで、「祈武運長久」の大きな文字に加え、167人分の名前が寄せ書きされていた。出征前に勤務していた洋服店や取引先の関係者の署名とみられるという。

現地から日章旗を持ち帰った元英国兵の孫、ルイーズ・フェンさん(50)が、英国で放送された戦後75年のドキュメンタリー番組を見て返還をNPOに相談。3年以上かけて大阪市内に住む長女、岡部芙佐子(ふさこ)さん(86)を捜し出した。

この日、同市住之江区の大阪護国神社で返還式が開かれ、芙佐子さんや三女、上里蓉史子(よしこ)さん(79)ら遺族に日章旗が手渡された。フェンさんから芙佐子さんらに向けた「心に区切りをつけられ、安らぎがもたらされますように願っています」とのメッセージも読み上げられた。

芙佐子さんによると、辰美さんの記憶はほとんどないが、出征前日に近くの銭湯へ連れて行ってくれたという。自宅には辰美さんが聴いていた洋楽のレコードが残され、平成13年に亡くなった母、あい子さん=享年(97)=からは「ビリヤードやコーヒーが好きだった」と聞いていたという。

辰美さんの遺骨や遺品は全くなかったといい、芙佐子さんは「帰ったら(日章旗を)仏壇に供えたい。母が喜ぶと思う」と話した。蓉史子さんも「遺品があっただけでもうれしい」と目を細めていた。

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