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警察の司令塔 新「通信指令センター」完成 警視庁150年 69/150

産経ニュース 2024年8月26日 7時0分

1日平均約5840件(令和5年)の110番通報が入る警視庁の通信指令本部。事件や事故の情報を受け、パトカーや警察署、交番などに無線で指令を行う。「警察の頭脳」ともいえる通信指令本部では、1秒でも早く現場に着き犯人検挙、事件解決につなげるため、最新のシステムと高度な技術が用いられている。(大渡美咲)

警視庁によると、通信指令業務は警視庁創立の翌月、明治7年2月4日に「報知掛(かかり)」という名で始まったという。専属の騎馬伝令を常備して通信連絡に当たった。

24年12月には電信で用いられるモールス符号の有線電信「非常用報知機」を導入。警察署と派出所、消防分署、消防出張所で運用し、内部連絡用ではあったが、犯罪や火災の通報に役立てた。

終戦後、通信技術の発達とともに警察の通信も飛躍的な進化を遂げることとなる。

昭和23年10月1日には、警視庁管内で110番通報制度が始まった。通信指令本部の前身となる総務部通信課の一斉指令通信室で、東京都23区内32電話局から指令室内に接続して110番通報を受理し、有線指令を実施した。29年7月1日に現行の警察法が施行され、それまで大阪、京都、神戸は「1110番」名古屋は「118番」だったのが「110番」に統一された。

110番通報の浸透とともに通報も増加。それに対応するために警視庁は49年の創立100年に合わせた庁舎建て替えで通信指令の最新システムを導入する。警視庁の情報通信分野を担う東京都警察通信部(現・東京都警察情報通信部)の職員が移転や新システムの導入に尽力した。

それまでは110番通報を受けた担当者が通報内容を紙に書いて指令台まで走って渡し、別の担当者が警察署などへ無線で指示するという流れだった。受ける人、渡す人、指示する人が別々で、時間もかかっていた。

55年に完成した新庁舎の新通信指令システムでは、110番を受理すると、通報内容をコンピューター処理し、警察署などに指令する無線指令台などのモニター画面に同時に表示できるシステムを日本で初めて導入。警視庁は「110番受理から警察官の臨場が大幅にスピードアップし、犯人の現場での逮捕など、都民や国民の期待に大きく貢献した」と話す。

通信指令業務はその後も進化し続け、現在は、警察官が持つ携帯端末「ピーフォン」を活用し、現場の映像などを送ることができるシステムも導入されている。

警視庁は「110番すれば警察官が来てくれるという警察力は都民、国民の財産。過去の努力の上に成り立つ通信技術を発展させていくことが、われわれに課せられた使命です」と話している。

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