千葉県南房総市の嶋田守副市長は25日の記者会見で、宿泊客に課す「宿泊税」を巡り、県が示した「1人1泊150円に市独自の課税分を上乗せする」とした案の実現は難しいとの認識を示した。連泊が多い大学生のサークル合宿などを念頭に「市内には小さな民宿が多く、上乗せは厳しい。価格的な負担がかかり経営に響く」と述べた。
南房総市は8月、市独自の宿泊税の課税策を巡る同市の検討組織に「1人100円を課す」との素案を示した。
だが、県が示す上乗せ方式では県の課税分と合わせれば計250円の課税となり、他地域との競争力低下などを理由に反対意見が相次いだ。このため、市は現在、宿泊税導入の議論をいったん棚上げし、県側の対応を注視している。
これに関連し、南房総市を含む県内の民宿組合の組合長らは今月初旬、連泊利用者への課税条件の見直しなど、県の制度設計案の再検討を求める文書を県側に提出した。
熊谷俊人知事は12日の記者会見で「その意見も踏まえ、丁寧な説明と詳細な制度設計を詰めたい」と理解を示したが、課税額の変更の可能性には「基本的な考え方は変わらない」と否定的な姿勢を示した。(岡田浩明)