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「あの名曲」で踊って脳をフル回転、認知症予防も視野に運動 SAMさんら考案のエクササイズ

産経ニュース 2024年9月5日 8時0分

ダンスボーカルグループ「TRF」のメンバーが考案したシニア向けエクササイズ「リバイバルダンス」が注目されている。認知症予防を視野に筋肉と脳の活性化を狙った運動プログラムだ。9月の認知症月間を前に先月、東京都内で開かれた健康推進イベントでTRFのメンバー、SAMさんが指導して約60人が体験。SAMさんは「振り付けを覚えれば、脳はフル回転する」と語った。

イベントを開いたのは、医薬品開発支援などを行う企業「EPNextS」(東京都新宿区)。SAMさんによるダンス指導のほかに、認知機能低下の予防につながる「運動」の大切さなどについて医師らが語った。

登壇者の一人、「東京ミッドタウンクリニック」(東京都港区)の総院長、田口淳一さんは、「認知症だけでなく、フレイル(虚弱)の予防も期待できる」と評し、「筋力トレーニングやストレッチと組み合わせてもいい。脳と体を使うことで達成感が味わえるのが、ダンスの魅力の一つだと思います」と語った。

2つの動作を同時に行い脳を刺激

この日、SAMさんは、ヒット曲「survival dAnce ~no no cry more~」(平成6年)にのせてリバイバルダンスを指導。頭上で手拍子を打ちながら、右へ、左へとステップを踏んだ。繰り返し両脚をそろえたり開いたりしながら、「このように踏むのが、ツーステップ。頭の上で大きくクラップ(手拍子)すると肩こりが緩和されます」と説明。SAMさんの「ワン、ツー…」というかけ声に合わせて振り付けをまねて踊る参加者らの手拍子も、次第に大きくなっていった。

リバイバルダンスは、日本認知症予防学会の監修で開発された。特徴の一つが、手と足で、同時に異なる動作を行うことだ。

一般的に2つの動作を同時に行うと、脳に適度な刺激が与えられるとされる。代表例が、国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」だ。こちらも手と足で別々の動きを計算しながら行うなどして脳を働かせながら体を動かす。ほかにも運動プログラム「シナプソロジー」がある。

懐かしいメロディーに合わせてダンス

リバイバルダンスのもう一つの特徴は、ヒット曲に合わせて踊るという点だ。平成を華やかに彩った「TRF」の曲だけでなく、森昌子さんの「せんせい」や、水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」に合わせたダンスもある。往年のヒット曲は当時を知る人に懐かしさや思い出を呼び起こす。

SAMさんは「認知症に特化したプログラムを考えていたときに使いたいと思ったのが懐かしい昭和歌謡。これらの曲は(当時を知る人にとって)脳の刺激になるはず。音楽とダンスの融合について調べてみたらポジティブな要素しかなかった」と語った。

自宅などでも取り組めるようにと令和4年に「リバイバルダンス」のDVDとCDのセットを発売すると、販売数10万セットを突破した。

SAMさんは高齢者らを対象にしたダンスのワークショップ開催にも力を入れており、「80~90代の方々も、体を動かしにきてくれる。体に良いことをするのに早すぎることも遅すぎることもない。気が付いたときに始めてほしい」とすすめている。(竹中文)

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