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作って楽しく食べておいしい「お好み焼き」 プロの指南で至福の一枚

産経ニュース 2024年8月25日 8時0分

夏の屋台グルメの定番、お好み焼き。家庭でも、ホットプレートを家族で囲んで作ってみては? 思いのほか野菜がたっぷり取れるのも魅力のひとつ。「お好み焼士」が指南する、おいしい1枚を作るコツとは-。

蒸し料理の感覚で

お好み焼き用ソースの大手メーカー、オタフクソース(広島市)は、お好み焼きの作り方を学ぶ教室を定期的に開いている。特に人気が高いのが、生地やキャベツ、豚肉、麺などを重ねて焼く広島お好み焼き。夏休み期間中は、親子で参加する受講者も多い。

実演しながら教えるのは「お好み焼士」。平成18年から続く社内の資格制度で、お好み焼きの知識や調理技術を身につけたスペシャリストの称号だ。

「お好み焼きの肝はキャベツ。蒸し料理に近いイメージです」。東京教室で講師を務める長谷川寛美さんはこう話す。早速、下ごしらえのキャベツの切り方から教わった。

「一番蒸れやすく、食べやすい大きさ」と勧めるのが長さ10~12センチ、幅2~3ミリの千切り。細すぎると焼き上がりが「ベチャッとなる」ため、市販のカット野菜は向いていないという。

家庭では長さは厳密にしなくても、大事なのは繊維(葉脈)を断つように切ること。¼玉を用意し、真ん中の芯を斜めに大きく落としたら、切り口を下にして横に置き、三角形の端のほうから2~3ミリ幅に切ればいいとか。

生地は、「薄力小麦粉1に水1・5」の割合で溶く。ダマがなくなるまでしっかりと混ぜたら、安定するまで20~30分寝かせると薄くのばしやすくなる。

ポイントは温度!

「おいしく焼く最大のポイントは温度を使い分けることです」と長谷川さん。

最初は160~180度で生地を焼き、キャベツ、天かすなどを順にのせていく。豚肉を並べてのせた後、200~220度に上げて裏返す。高温で豚肉にしっかりと熱を通すとともに、生地を蓋の代わりにして蒸気を逃さずに野菜を蒸し上げ、甘味を引き出す。

豚肉がキツネ色になったら160~180度に戻し、キャベツを動かしながら蒸し焼きに。時々生地をめくり、キャベツの熱の通り具合を見ながら「2つのへらで軽く挟んでマッサージするように寄せて。まんべんなく蒸らすことができます」(長谷川さん)。隣で麺を炒めている間も、キャベツが半透明になるまで〝マッサージ〟を続ける。

麺にのせ、半熟に焼いた卵にのせと、重ねていくたびにへらで押さえると、かさが減り、全体がまとまっていく。半分に切ると、サンドイッチのような一体感のある断面が現れ、食欲をかき立てる。

長谷川さんいわく、「豚肉の下に水分の多いモヤシがあるのは蒸気が出やすく、熱の通りをよくするため。天かすはキャベツの水分を吸ってうまみを出す。それぞれに役割があり、重ねる順番にも理由があるのです」。焼く前にプレートの周りに、材料を順番に並べておくとよさそうだ。

ソースはプレートの上でかけると、ソースに含まれる酢の酸味が飛んでまろやかな味わいに。チーズやキムチなど、お好みの具材を加えてアレンジすれば、楽しさもぐっと広がる。(榊聡美)

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