和歌山県の岸本周平知事は8日の定例記者会見で、防衛力強化の一環として自衛隊や海上保安庁の使用を想定して整備する「特定利用空港」について、国が候補とする南紀白浜空港(白浜町、愛称・熊野白浜リゾート空港)の指定を受け入れる方針を表明した。年度末にも国に指定される予定という。
同空港が特定利用空港に指定されれば、自衛隊や海保などが空港の管理者である県と連絡調整体制を構築。合理的な理由がある場合、「民生利用に配慮しつつ、緊密に連携して自衛隊・海保が柔軟かつ迅速に施設を利用できるように努める」とする。
自衛隊は状況に応じた航空機の配置や国民保護、災害時の派遣を実施するため、海上保安庁は捜索救難活動での補給などのため、同空港を利用する。ただし、国は「武力攻撃事態や武力攻撃予測事態は除く」としている。
指定は、同空港の滑走路を500メートル延ばして2500メートルにする県の計画への「追い風」になるとみられ、岸本知事は「延伸すれば(自衛隊や海上保安庁も)使いやすくなる。プラスになるだろう」とみる。
岸本知事は「災害時の迅速な避難や救援部隊の派遣、航空機による避難経路の確保などが実現しやすくなる。南海トラフ地震などで、より緊密な連携が深まることを期待したい」と述べた。「武力攻撃の目標になるのでは」と問われると、「自衛隊機が常駐しておらず、攻撃の対象になる蓋然性は低い」との考えを示した。
特定利用空港は、これまで九州・沖縄の8空港が指定されているが、本州の空港の指定はなかった。