山梨県の県産木材を使い、県内の楽器修理会社が仕上げるなどした「富士山麓ギター」が完成した。地元、山梨県を拠点に活動するシンガーソングライターの伸太郎さんらが企画したものだ。森林面積が県土の78%を占める山梨県の県産木材の活用拡大や、その後の植樹による森林資源の循環利用を目指すためで、伸太郎さんがCATV富士五湖(同県富士吉田市)の番組企画として取り組んだ。
ギターの表の面は富士吉田市大明見の山林から切り出した杉を使い、側面、裏面はモミジ、ネックの部分は柿を使っている。伸太郎さん自身も木材を伐採し、そのあとに苗木を植樹した。
同市の明見緑化が伐採、西桂町のマエダ製材所が製材に協力。ギター製作は南部町の楽器修理会社、F-ROOTSの佐野勝也代表が手掛けた。さらにストラップは富士吉田市の光織物が製作した同地域特産の「郡内織物」を使用するなど、材料面、手掛ける人的な面でも「オール山梨」のギターとなった。
ナイロン弦が主に使われるクラシックギターなどでは、国産木材だけのものもあるが、アコースティックギターでは「富士山麓ギターが国内初だろう」と伸太郎さん。音色も「やわらかい振動とモミジのかたさがいい感じで合わさって気持ちのいいものになった」と話す。すでにこのギターの噂を聞いたアーティストから「使ってみたい」といわれているそうで、市販化の可能性もある。
長崎幸太郎知事や富士吉田市の堀内茂市長らに披露したのに続き、富士吉田市で開催したこのギターのお披露目弾き語りライブのチケットは完売となった。
伸太郎さんは山梨学院高野球部OBで、現在も野球部をサポートしている。同校は今年の選抜高校野球大会に4年連続での出場を決めており、甲子園出発前の選手たちに「富士山麓ギター」を使ってエールを送る予定だという。