江藤拓農林水産相は24日の記者会見で、コメ価格の高止まりを受けた政府備蓄米の放出の可否について、「非常に迷いがあるのが正直な気持ち」と述べた。江藤氏は「生産者にとってはコメ価格が上がり、明るい兆しが出てきたところで備蓄米を出せば(生産者から)反発があるかもしれない」と指摘した。一方で、「あまり高止まりすると(消費者の)コメ離れが起きる。(備蓄米放出が)消費者にとっても生産者にとってもよいことかどうか判断が難しい」とも語った。
江藤氏は、2024年産米の生産量が前年産より18万トン増えた一方で、出荷団体のコメの集荷量が前年比で17万トン少ない状況を「健全ではない」と強調した。その上で、「価格は市場で決まるべきというのが基本的な考えだが、健全な状況でないならば、正常に戻せるような手立ての準備はしておかないといけない」と説明した。31日に予定する農水省の食料部会で、食糧法の理念に基づき備蓄米を集荷業者限定で貸し付けができるかなどを議論し、一定の方向性を示す方針とした。
農水省が17日発表した昨年12月までの24年産米の全銘柄平均は、玄米60キロ当たり2万3715円で、これまで最高だった1993年の大凶作「平成の米騒動」の2万3607円を超えて過去最高値を記録するなど、高止まりが続いている。(西村利也)