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「ホームレス・ワールドカップ」 日本代表が13年ぶりに出場 前回は全敗、「初勝利を」

産経ニュース 2024年9月5日 19時21分

ホームレス状態の人が参加するサッカーの世界大会「ホームレス・ワールドカップ」が21日から韓国・ソウルで開催される。日本代表は資金不足で不参加が続いていたが、スポンサー契約が決まり、13年ぶりに出場する。

ホームレス・ワールドカップは、居住状況が安定していないホームレス状態の人が一生に一度だけ参加できる大会で、ホームレスの社会復帰などを目的としている。新型コロナウイルス禍の2020~22年を除き、03年から毎年開催され、今大会は49カ国64チームが参加する予定だ。試合の参加人数はフィールドプレーヤー3人、ゴールキーパー1人の計4人。コートのサイズは22メートル×16メートルで試合時間は7分ハーフ。

日本代表は過去3大会に出場し、最後に出場した2011年のパリ大会では13戦全敗、失点が計138点という結果に終わった。その後、協賛が集まらず出場できなかったが、住宅情報サイトなどを運営するLIFULL(東京都千代田区)がスポンサーとなることが決まり、出場が決まった。

日本代表チームはこれまで日本の法律の定義にのっとって「路上生活者」が中心だったため、「住居が不安定」な人とする欧米などと比べ、メンバーが高齢でサッカー経験が浅いことが多かった。今回は、参加資格を変更し、1年以内に不安定居住を経験したことなどの参加条件を満たした人から8人が選ばれた。メンバーは16~65歳と幅広い年代が集まった。

5日に東京都内で行われた日本代表の記者会見に参加した選手の山田裕三さん(65)は、普段、ホームレスの自立支援の雑誌「ビッグイシュー」の販売をしているといい、その人脈などからフットサルにも参加するようになった。「まさかホームレス・ワールドカップに出場し、韓国に行けるなんて夢にも思っていなかった。本当に感激で、感謝しかない」と話した。学生時代にサッカー経験がある岩崎零さん(23)は、「チームとして初勝利したい。個人としては 、3得点3アシストを目標としていきたい」と抱負を語った。

スポンサーとなったLIFULLは、住まい探しに困難を抱える「住宅弱者」の相談に応じる不動産会社の検索サービスや、生活困窮者などの支援団体への寄付などを行ってきた。執行役員でCCOの川嵜鋼平さんは同日の会見で、スポンサー契約の理由について、「『ホームレスの存在しない世界』を目指すという大会のビジョンと、大会を通じて当事者の方々の自立を目指すという目的に強く共感した」と説明した。

監督は、自立援助ホーム「峠のまきば」のホーム長でもある中山崇志さん。中山さんは産経新聞にコメントを寄せ、「人生がうまくいかなくなった人が真剣に世界の人と勝負する舞台だ。サッカーを楽しむだけでなく、本気の勝負があることが大事で、日本代表チームの挑戦を支えることができればと思い、監督を引き受けた」と説明。大会を通じ、「それぞれのチャレンジを今後の人生に生かしてもらえたらうれしい」としている。(本江希望)

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