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中央官庁情報 総務省 国・地方を通じた行政の要として 21世紀の日本をデザイン 受験ジャーナル

産経ニュース 2024年12月11日 19時41分

国家公務員総合職試験,一般職試験に合格すると,その主な職場は「国の行政機関」である1府12省庁,つまり,内閣府および11省+国家公安委員会(警察庁)となる。さらに各省の下には外局である庁や委員会が置かれており,地方に出先機関を設けている省庁も多い。国家公務員の職場は実に幅が広いといえるだろう。それぞれの官庁が取り組んでいる仕事内容や課題などを紹介する。

総務省は,総務庁,自治省,郵政省を再編統合した官庁である。これまで3つの省庁が所管していた,・国家行政組織など行政の基本的制度の管理・運営 ・国民の暮らしに最も身近な地方自治制度,地方税財政,選挙などの内政の基本的制度の企画・立案 ・経済・社会活動を支える情報通信の高度化促進や安定した郵政サービスの確保 といった国民生活の基盤に広くかかわる行政機能を引き継ぐ。また,内閣および内閣総理大臣を補佐・支援する体制の強化という役割も担っている。

国家行政のマネジメントを実施

〈行政管理局〉行政運営の総合的かつ効率的な実施および行政サービスの公正・透明性を確保するため,以下の機能を担っている。

●業務改革の推進 既存の業務プロセスにおける課題を把握・解決することにより,行政手続きが簡素化され,国民・企業の行政手続きに要する負担および職員の業務負担を軽減する取組み(BPR)を推進している。

●独立行政法人制度の適切な運営 独立行政法人の業務運営の改善・適正化を図るため,共通的な制度の企画・立案,法人の新設・改廃等の審査,主要な事務・事業の改廃に関する指摘等を行う独立行政法人評価制度委員会の事務局を務めている。

●行政の共通制度の適切な運用 情報公開法,行政手続法および行政不服審査法など,行政機関等が行政活動を行うに当たって守るべき共通的な制度を所管し,国民から信頼される公正な行政の基盤をつくり,国民と行政の関係の適正化を図っている。

〈行政評価局〉国民に信頼される質の高い行政の実現をめざし,3つの機能を担う。

①各府省の行政運営の改善に関する調査 政府内にあって施策や事業の担当府省とは異なる立場から,各府省の業務の現場における実施状況を実地調査し,課題・問題点を実証的に把握・分析し,その改善方策を提示するものであり,近年では,「遺留金等」「災害廃棄物対策」「外国人の日本語教育」等多種多様なテーマについて調査を実施している。②政策評価の推進 各府省が行う政策評価の共通ルールの策定や,政府全体の政策評価の実績の取りまとめを行っている。また,各府省が行う政策評価の内容等を点検し,評価の質の向上とそれを通じた政策の見直し・改善を図っており,令和4年度は租税特別措置等の分野で43件の点検を行った。③行政相談 国の行政などへの苦情や意見· 要望を受け付け,担当行政機関とは異なる立場から,必要なあっせん等を行い,その解決や実現の促進を図るとともに,行政の制度および運営の改善に活かす仕組みであり,年間約12万件の相談を受け付けている。

〈統計局〉統計局は,社会・経済情勢を把握するための基礎となる国勢調査や,経済センサスをはじめとする国の重要な統計調査を企画・立案および実施し,社会に役立つ正確な統計を作成・提供する。これらの結果は,国や地方公共団体が行政施策を企画・立案する際の基礎資料として用いられるほか,学術研究機関や民間企業などで幅広く利用される。

令和4年度には,国民の就業・不就業の状態を全国および地域別に把握するため,「就業構造基本調査」を実施した。

〈政策統括官(統計制度担当),(恩給担当)〉政策統括官の役割のうち統計制度担当は,統計の政府横断的な調整を図るべく,統計法などに基づき,統計に関する基本的事項の企画・立案,統計調査の審査・調整,国際統計事務の統括などを行う。また,政府全体における「証拠に基づく政策立案(EBPM)」を推進するため,その証拠となる統計の整備・改善を推進する役割も担っている。

恩給担当は,恩給の支給に関する事務などを行っている。

時代の変化に即した「地方自治」の追究

〈自治行政局〉地方公共団体の組織・運営,地方自治行政,地方公務員,選挙などの諸制度に関する企画・立案を行う。

また,活力ある地域づくりをめざして常に新たな政策を企画・立案し,新たな広域連携の推進,地方行革の推進,電子自治体の推進,地域力の創造,過疎地域の持続的発展,国際交流・国際協力の推進などの重要な課題に地方公共団体が積極的に対応していけるよう支援する。

〈自治財政局〉人口や産業の集積の度合いによる地域間格差や景気の動向による税収の年度間格差にかかわらず,地方公共団体がその重要な責任を果たすことができるよう,地方財政計画(多種多様な地方公共団体の財政の複合体である地方財政の規模や収支見通しを全体としてとらえたもの)を通じて,地方の財源を保障し,これに基づく地方交付税や地方債制度を通じて各地方公共団体の財政基盤を支えるとともに,地方財政の健全化のための調査・助言,地方公営企業に関する制度の企画・立案等を行う。

〈自治税務局〉地方自治の基盤を築くための税源の選択,国と地方の税源配分,地方税負担の合理化・適正化,経済社会の発展に即応する地方税制のあり方などについて企画・立案し,地方税負担の公平適正化に努めるとともに,地方分権改革を推進するため,税源の偏在性が小さく,税収が安定的な地方税体系の構築に取り組んでいる。

また,ふるさと納税,国有資産や提供施設などの所在市町村に対する交付金なども担当する。

情報通信で国の成長力を牽引,国際競争力を強化

〈国際戦略局〉ICT(情報通信技術:Information& Communications Technology)はわが国経済の成長力・競争力の主要な源であり,この分野の国際競争力の強化を図ることは,わが国の経済全体の成長を牽引する大きな原動力となる。国際戦略局では,グローバルな視点から,ICT 分野における戦略的な研究開発や標準化活動,海外展開活動などに一体的に取り組むとともに,ICT 分野のみならず,郵便,消防,統計,行政相談制度など,総務省における海外展開に向けた取組みを総合的・戦略的に推進している。

〈情報流通行政局〉情報流通行政局では,わが国の社会課題の解決に向け,さまざまな分野でのICT の利活用を推進しており,例えば,ローカル5G 等のデジタル技術を活用した地域課題の解決の取組みに対する総合的な支援を行っている。さらに,高齢者等のデジタル活用の不安解消に向けて,スマートフォンを利用した行政手続等に対する助言・相談等を行う講習会を実施しているほか,偽・誤情報の流通をはじめとしたインターネットを取り巻く環境の変化に対処するため,全世代を対象としたICT リテラシーの向上に取り組んでいる。

また,放送が,災害情報や地域情報等,社会の基本情報を共有する役割を果たしていることを踏まえ,大規模な災害に対応するための放送ネットワークの強靱化や字幕放送,解説放送等の視聴覚障害者等向け放送の普及促進,日本各地の魅力を伝える放送コンテンツの海外展開に積極的に取り組むとともに,デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方についても検討を進めている。

そのほか,郵便局ネットワークを活用し,郵便,貯金および保険のユニバーサルサービスの確保および利用者利便の増進等に取り組んでいる。

〈総合通信基盤局〉総合通信基盤局では,情報通信市場における公正な競争環境の整備,通信料金の低廉化,サービスの多様化・高度化,インターネット上の違法・有害情報対策等,利用者の利便を向上させるための環境整備に取り組んでいる。

また,国民共有の財産である電波の適正な利用を確保するため,周波数の割当てや電波の監督管理などを所管しており,5G 等の新たな無線システムの導入の推進,電波資源拡大のための研究開発や安心安全な電波利用環境の整備などに取り組んでいる。

〈サイバーセキュリティ統括官〉自由で開かれたサイバー空間はわれわれにさまざまな恩恵を与えてくれているが,攻撃者は,このサイバー空間を悪用し,わが国の重要インフラに攻撃を仕掛け,政府や企業が持つ情報をねらっている。そうした高度なサイバー攻撃から日本の情報通信ネットワークをどう守ればよいのか。普及が進む5G やさらなる先のBeyond 5G/6G を見据えつつ,押さえるべきセキュリティ上のポイントはどこか。通信の秘密を確保し,表現の自由を発展させながら,どうすればサイバー空間を安全にできるのか。サイバーセキュリティ統括官は,法律,予算,産業界との協力,同盟国や友好国との連携,先端技術の研究開発など,あらゆる政策手段を選択肢に,日々,わが国のサイバーセキュリティの確保に取り組んでいる。

外局

●公害等調整委員会 わが国における行政型ADR(裁判外紛争解決手段)の代表的機関として,公害紛争処理法に基づき,あっせん,調停,仲裁および裁定を行い,公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るとともに,都道府県公害審査会等との連携や情報交換,全国の地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理についての指導等を行っている。

●消防庁 わが国の消防は,消火・救助・救急や火災対策,地震対策に加えNBC災害(核等,生物剤および化学剤によって発生した災害)のような特殊災害等,あらゆる災害の対応を担っている。消防庁では,社会情勢の変化等に応じて,法律・制度の改正等により各地方公共団体および消防本部を支援するほか,大規模災害時には,被害情報の収集,緊急消防援助隊の指示等を行うなど国民の安全確保に極めて重要な役割を担っている。

人事データ

配属・移動

令和5年度は総合職については,大臣官房に1人, 行政管理局に6人,行政評価局に6人,自治行政局に14 人,自治財政局に3人,自治税務局に5人,国際戦略局に6人,情報流通行政局に6人,総合通信基盤局に9人,統計局に3人,政策統括官に1人, サイバーセキュリティ統括官に2人,消防庁に10 人が配属された。一般職(大卒程度)については,本省採用は大臣官房に9人,行政管理局に2人,行政評価局に7人,自治行政局に8人,自治財政局に1人,自治税務局に1人,国際戦略局に2人,情報流通行政局に3人,総合通信基盤局に6人,統計局に5人,政策統括官に2人,サイバーセキュリティ統括官に1人,自治大学校に2人,消防庁に6人,消防大学校に3人が配属されており,地方採用は,管区行政評価局等および総合通信局にそれぞれ配属された。

人事ローテーションについては,今後も,職員の適性や希望を十分踏まえながら実施する。職員は多様な経験を積んで,上位の役職に昇任していくこととなる。

採用動向・採用予定

令和5年度の採用数は,総合職については72 人(事務系61 人,技術系11 人),一般職(大卒程度)については,本省採用で58 人,地方採用で89 人であった。

令和6年度の採用数については,総合職(院卒程度・大卒程度)では事務系・技術系合わせて令和5年度と同数程度を予定。一般職(大卒程度)では総務省本省で行政区分66人,技術系区分6人,地方局(管区行政評価局,総合通信局)でも,行政区分・技術区分合わせて78 人程度の採用を予定。

(公務員試験受験ジャーナル 公務員の仕事入門ブック・6年度試験対応・記事内容を一部編集しています)

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