山梨県富士吉田市の堀内茂市長は8日の定例会見で、山梨県が推進する富士山登山鉄道構想について、「実現可能」として公表した中間報告に対し、「報告書を読み込んでも(登山鉄道は)現実が不可能としか読み取れない」と批判した。「県民の意見を聞き入れ、冷静な判断を求めたい」と述べ、県に対して同構想の撤回を改めて求めた。
さらに報告書を、法制や技術の専門家らによる事業化検討会ではなく、「(事業推進を打ち出す)県がとりまとめたことに大きな驚きを持っている」と指摘。その上で「報告書の信頼性、信憑(しんぴょう)性を疑う」と断じた。
報告書の中身についても「事業収益の黒字化には都心の鉄道並みの6分間隔、1日10時間、年間280日の営業運行が必要としているが、どれをとっても可能かどうか非常に疑問だ」とした。新車両の開発の必要性や、雪崩などに対する防災対応で費用面の検証がないことに加え、事業化に向けたスケジュールが記載されていない点などを問題視。「完成度が低い(報告書)」と苦言を呈した。
同日、山梨県の長崎幸太郎知事の定例記者会見で、堀内氏が中間報告を「実現不可能としか読み取れない」と発言したことが質問されると、長崎氏は「違う理解をしている」と回答。中間報告は有用であり、登山鉄道構想は実現可能との認識を示した。