自身が警察官であることを示すために用いる警察手帳。昭和10年に全国で統一され現在まで使い続けられているが、平成14年、67年ぶりに抜本的な形状変更が行われた。
旧警察手帳の表紙はチョコレート色の革製で、都道府県警察名を金色で記載。横開きの手帳型で、内側の紙面に階級、氏名などを記載し、メモ用紙の機能もあった。新警察手帳は縦開きで二つ折りのパスケース型。表面には記載がなく、警察手帳を開くと上部に顔写真、氏名などを記載したカード型の証票、下部に都道府県警察名と「POLICE」の文字が入った金色のバッジがある。
形状変更の背景には、一連の警察不祥事があった。12年に警察刷新会議が発足し、警察改革が進められた。それまでは警察名が書かれた警察手帳の表紙だけを見せる警察官も多かったが、警察の匿名性を排除して責任感を持って仕事に当たるため、「氏名や階級が示されたページを見せるよう徹底すべきである」と提言がなされた。これを受け、警察庁は約3万人の警察官にアンケートを実施し、複数案の中から新警察手帳が完成。使用の際には必ず開いて相手に身分を示し、警察官の責任を明確化するようにした。
現在の警察手帳には、警察官一人一人が使命感を持って安心安全な社会を実現する、という決意が込められている。(橋本愛)