未婚・晩婚化の拍車がかかっている東京都が、結婚を望む男女に出会いの場を提供するイベントを積極的に行っている。少子化が国家的課題として指摘される中、未婚・晩婚化は大きな要因の一つであり、都は対策に本腰を入れる。自治体主導の婚活パーティーと聞くとやや堅苦しくも感じるが、意外にも毎回大盛況。お見合いでいうところの〝仲人役〟を担う担当者が、強みを明かす。
全員と顔合わせ「1対1トーク」へ
「TOKYOふたりSTORY」と題する都主催の婚活支援イベントは昨年10月、「都立潮風公園」(品川区)で1回目が開催された。以降、庭園でのお茶会やモノレールに乗車しての小散歩など、趣向を凝らした舞台を用意して、出会いを後押ししてきた。
実際の流れはこうだ。参加者の男女各20人は、会場に集められると自己紹介後、異性20人全員と顔合わせをする「1対1トーク」に臨む。その後はレクリエーションで親交を深め、気になる相手とのフリートークを経て両思いの男女だけがスタッフを通じて連絡先を交換することができる。
都が都内在住の18~50歳未満の未婚の男女3千人超を対象に実施した調査によると、「結婚したい」と考える独身者のうち「特に婚活はしていない」と答えたのは約7割。婚活に消極的な傾向について都の担当者は「やったことのない婚活そのものに、不安を感じるのが理由の一つなのだろう」と話す。
半分程度が婚活初体験
都のイベントでは参加に当たって身分確認に加え、独身証明書の提出が必須。担当者は「間違いなく独身であることを逐一確認しているイベントは、民間団体が主催するものも含めて珍しいはず」といい、「『都の主催だから行ってみようと思った』という声も多く聞かれる」と明かす。実際、参加者の半分程度が婚活初体験なのだという。
参加資格は18歳以上で都内在住だけでなく、他県から都内の企業・学校に通う人も含まれている。日本で最も人が集まる東京。「都民」以外も取り込むことで、出会いの幅は大きく広がる。
先月20日には小人数で行ってきたこれまでとは趣向を変え、老舗遊園地「浅草花やしき」(台東区)を借り切って、男女400人が参加する過去最大のイベントを開催した。
東京の合計特殊出生率0・99
都の婚活支援は危機感の表れだ。昭和55年、日本人の平均初婚年齢は男性が27・8歳で、女性は25・2歳だった。それが社会構造の変化などから晩婚化は進み、今年4月に厚生労働省が発表した人口動態統計によると、令和5年の平均初婚年齢は夫が31・1歳、妻は29・7歳に上昇した。
婚外子が比較的少ない日本では、未婚・晩婚化が少子化に直結する。女性が生涯に産む子供の数を表す合計特殊出生率は、5年が1・20と過去最低を更新。東京では、0・99と史上初めて1を割り込み全国最低を記録した。
小池百合子知事は今年3月の定例会見で「少子化の要因の一つとして結婚する人が減っている。婚活に踏み出せない人の背中を押すため、都としてさまざまな活動をしている」と言及した。都の調査では未婚男性の63・9%、未婚女性の73・0%が「結婚したい」と回答。望んで未婚を貫くのは少数派という現実も浮かぶため、都は今後も婚活支援を幅広く続けていく。
都の結婚支援ポータルサイトは、https://www.futari-story.metro.tokyo.lg.jp/
(宇都木渉)