大学生の就職活動が本格化する中で、最近の就職活動のトレンドの1つといえば「親子就活」です。「親子就活」とは、学生の就職活動に親が積極的に関与し、情報収集や企業研究、選考対策などを一緒に行うスタイルを指します。これまで、就職活動は学生自身が主体となって行うべきものとされてきましたが、近年の社会的・経済的背景や家族の関係性の変化により、親の関与が増加しているのです。
●親子就活が注目される背景
親子就活が注目される理由の1つに、就職活動の複雑化があります。企業がエントリーシートや面接で独自の基準を設け、さらにオンライン化が進む中で、学生だけでは対策が難しい場面も増えてきました。これに加え、経済の先行き不透明感から、親世代は子供の将来に対する不安を抱える傾向が強まり、積極的に情報収集を行うようになっています。
また、親と子の関係が密接化していることも要因の1つです。特に現代の学生は、デジタル環境で育ちながらも親との依存関係が深く、進路選択においても親の意見を求める場面が増えていることから、就職活動でも同様のケースが増えています。
●親子就活のメリットとデメリット
親子就活にはさまざまなメリットがあります。まず、情報収集の効率化です。親が社会経験や人脈を生かすことで、学生自身が気づかない視点からアドバイスを行える場合があります。
また、精神的なサポートも重要な要素です。就職活動は学生にとって大きなストレスを伴うため、親が近くで支えることで安心感を与えられるでしょう。さらに、親の現実的な視点を加えることで、経済状況や雇用市場を踏まえた現実的な選択肢を検討する助けにもなります。
一方で、親子就活にはいくつかの課題もあります。第一に、親が過干渉になることで、学生の主体性が損なわれるリスクがあります。自分で考え行動する力が育たず、社会人になってからの自立にも影響を及ぼす可能性があります。次に、親子間で意見が対立するケースも少なくありません。
親が自分の価値観や理想を押し付けすぎると、学生が自分らしいキャリアを見失うことがあります。また、企業側に「親が関与しすぎている」という印象を与えると、学生自身の評価にマイナスとなる場合も考えられます。
●親子就活を成功させるポイント
親子就活をより良い形で進めるためには、役割分担を明確にすることが大切です。親は情報提供や精神的な支援に徹し、最終的な決定や行動は学生自身に任せるべきです。
また、親と学生が事前に目標や希望を共有し、互いの意見を尊重する姿勢が求められます。さらに、大学のキャリアセンターや専門家の意見を取り入れることで、偏りのない視点を得ることも効果的です。親が過剰に関与することを避け、学生が自ら考え、未来を切り開く機会を与えることも忘れてはなりません。
親子就活は、学生と親が協力しながら就職活動を進めていくスタイルです。親の適切なサポートは、学生が不安を軽減し、より効果的に活動を進めるための力となるでしょう。ただし、親が過干渉になりすぎないよう注意し、学生の主体性を尊重することが重要です。
親子で協力しながら未来を切り開いていくプロセスは、学生にとっても親にとってもかけがえのない経験となるはずです。親子就活は、家族の絆を強めると同時に、学生の自立を促すためのチャンスでもあります。親と子が適切な距離感を保ちながら、協力して就職活動を進めることで、より実りある結果が得られることでしょう。(「内定塾」講師 齋藤弘透)
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