奈良県田原本町と奈良少年鑑別所（奈良市）は、非行や犯罪防止など子供の健全育成に向けた包括連携協定を締結した。交流サイト（SNS）などの広がりから、犯罪に巻き込まれたり加害者側になったりする危険性が増える中、少年鑑別所の協力を得て学校での出前授業、保護者や本人との出張相談などを行う。同鑑別所と市町村との連携協定は県内で初めてという。
少年鑑別所には地域支援業務を行う「法務少年支援センター」の機能があり、更生教育に精通した専門官が個別相談や指導方法のアドバイスを行っている。家庭内での暴言や暴力などさまざまなケースに対し、保護者や本人との面接、心理検査などを通じて更生支援に取り組んでいる。
田原本町では、昨年度に職員らが同センターの講義を受けたのを機に、ふだんから密接な連携が必要として協定を結ぶことになった。今後は、同センター職員による出前授業や個別相談などを行う。
締結式で高江啓史町長は「不登校や虐待など困難を抱える家庭や子供は、町内に限らず増えている。住民にとって相談先が増えることは重要で、専門家の知見をもとに問題解決につなげたい」とあいさつ。奈良少年鑑別所の奥居信幸所長は「少年鑑別所は地域支援の業務も担っているが、十分に浸透していない部分もある。今回の協定を機に活動を知ってもらい、地域との連携をさらに深めたい」と話した。