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台風襲来時の船舶事故防止 第3管区海保拠点を報道陣に公開 24時間態勢で東京湾警戒

産経ニュース 2024年7月9日 14時12分

台風襲来時に東京湾での事故防止に向けて船舶に情報提供、勧告などを行う第3管区海上保安本部(横浜市)の東京湾海上交通センターの運用室が報道陣に公開された。24時間態勢でレーダーなどを駆使しながら湾内の状況に目を光らせ、停泊中に強風で流される懸念のある船舶側と連絡を取り合うなどの対応をする。船舶はひとたび流されると立て直すのは容易ではなく、同保安本部は船舶関連団体などと対策協議会を開催して注意を呼び掛けている。

横浜市中区の横浜第2合同庁舎内にある運用室では船舶交通の安全性を確保するために、レーダー、船舶自動識別装置、港ごとに設置された約30台のカメラなどを駆使して船舶の動静を把握する。約20人の管制官たちが24時間態勢で船舶の状況が映し出される端末のモニターをチェックし、必要に応じて船舶に情報提供、勧告、指示などを実施する。

台風襲来時には、いかりを下ろして停泊している船が強風で流される「走錨(そうびょう)」による事故を防ぐことが重要な任務となる。多数の船が停泊、往来する東京湾で走錨が発生した場合、周囲の他の船舶に次々と衝突したり、湾内の重要施設にぶつかったりする大事故に発展する懸念があるためだ。

東京湾アクアライン・海ほたる、石油基地の荷受け施設周辺などを重点的に警戒する海域として設定。運用室の端末モニター上で映し出される多数の停泊中の船影をそれぞれ円で囲み、船影が動いて円に触れると警報が発せられるシステムがとられている。警報時には管制官がただちに無線などで船舶に連絡をとって状況を確認し、走錨を止める対応を行うよう情報提供、勧告を実施する。

走錨を防ぐ対応としては、エンジンを動かし、船首を風に立てるほか、いかりのチェーンを伸ばすことなどがあるという。ただ、ひとたび走錨が起きた状況下で体勢を立て直すことは容易ではないため、船舶は事前に対策を準備して停泊に臨むことが重要になる。

同センターでは台風接近など強風が予想される場合には湾内に停泊予定の各船舶に対して当直員の数、いかりのチェーンの長さ、停泊中もエンジンを使用するかなどを細かく聞いて確認した上で、その内容に応じて走錨対策を呼び掛ける。船舶と連絡がつかない場合は海域を担当する海上保安部と連携し、船主や船舶代理店を通じて指導を行う。

6月25日には同保安本部は関東地方整備局、東京管区気象台、日本船主協会などと「東京湾台風等対策協議会」の会合を開き、宮本伸二本部長が「事故防止対策の再確認をお願いしたい」などと語った。(高久清史)

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