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古代のロマンに触れる さきたま史跡の博物館  埼玉「館」巡り

産経ニュース 2024年9月7日 11時0分

5世紀後半から7世紀中ごろにかけて築かれた9基の大型古墳などからなる埼玉(さきたま)古墳群の出土品を展示している「さきたま史跡の博物館」。埼玉古墳群のすぐ近くにある。施設老朽化のため令和5年9月から休館していたが、6年3月に再開した。

約1万5千点ある収蔵品のうち、目玉は金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)をはじめとする埼玉古墳群にある稲荷山古墳の埋蔵施設の出土品。これらは全て国宝だ。

金錯銘鉄剣は、剣の両面に金象嵌(きんぞうがん)で「先祖代々天皇家に仕えてきた」といったことが刻まれている。展示されている鉄剣以外の出土品も豪華なのだが被葬者ははっきりしていない。展示品を見ていると、「被葬者はいったい何者だったのだろう」と、古代への興味をかき立てられる。

残念なことに、金錯銘鉄剣は老朽化したケースの更新のため、現在はレプリカのみの展示。本物の再展示は令和8年春ごろを予定しているという。

ただレプリカといっても実物と遜色ない。さらに、さびをクリーニングする前の模型も展示されており、学芸員の中井歩さんは「これは今しか見ることができないもの」としており、一見の価値ありだ。

稲荷山古墳出土品以外にも、国内で3例しか発見のない馬のかぶとなども展示されており、考古学好きにはたまらない場所。来館していた長野県塩尻市の男性(62)は金錯銘鉄剣を見ながら、「考古学が好きでずっと気になっていたのだが、来たのは初めて。よくこんなものが残っていたと思う」と話していた。

常設展のほか、企画展も随時開催。10月5日からは人物埴輪(はにわ)や勾玉(まがたま)などの出土品から古代の服装を考える「古墳時代の装い-おしゃれな古代人-」が開催される。(半田泰)

■アクセスガイド 埼玉県行田市埼玉4834。JR高崎線吹上駅北口から朝日バス行田折返し場または総合教育センター、行田工業団地行きで「産業道路」停留所で下車し徒歩約15分。バス乗車時間は約10分。車では東北自動車道羽生インターチェンジから約15キロ。近くのさきたま古墳公園駐車場は無料。

さきたま史跡の博物館 昭和44年、さきたま資料館として開館。平成18年から今の名称になった。来館者は小学生の団体や家族連れが多く、年間10万人に上る。原則月曜日と12月29日~1月3日が休館。観覧料は高校大学生が100円、一般200円で、小中学生は無料。

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