Q 遺贈寄付の主な方法である遺贈とはどのようなことですか
A 遺言に基づいて財産を特定の人や団体に贈与することです。遺言がないと相続人が相続しますが、遺贈の相手は相続人でなくても団体でも構いません
Q 遺言は絶対必要ですか
A 遺言がなければ遺贈ではありません。誰に何を贈るのかということを遺言に書いていないと、遺贈に法的な効力はありません
Q 遺言にどのように遺贈の内容を書くのですか
A 「預貯金〇〇円を△△に贈る」などと書きます。これを特定遺贈といいます。特定の財産を明記して贈ることです。一方、包括遺贈というものもあります。「財産を半分ずつ、△△と□□に贈る」など、特定の財産を明記しない上、割合などを書いて贈ることです
Q 包括遺贈だと、結局いくら贈るのか、よく分かりませんね
A 財産が不動産だと半分にするのは難しいですし、話し合いが必要になります。包括遺贈は負債も含んでしまいますので、遺贈寄付の場合は特定遺贈のほうがベターかと思います
Q 故人が特定の人や団体に遺贈した場合、子供などが不満を持ちませんか
A 法定相続人のうち、配偶者か子供、直系尊属(父母や祖父母)には遺留分を請求する権利があります。遺留分は、法定相続で受け取れた分の一定割合と決まっています。ただ、遺留分を請求する権利がない人から不満が出た場合でも、遺贈を受けた団体が一部の財産を、不満を訴えた人に渡すこともあります
Q 問題が生じてしまうと、遺贈を受けた団体も大変ですね
A そのような事態を避けるために、私たちのような専門家が間に入って、本人の意思を尊重しながら、相続人が不満を訴えないような遺言内容にします。遺言内容を実現させる「遺言執行者」を専門家にすることも有効です。本人の思った通りにできるよう、考えておく必要があります
(回答者 司法書士 庄田和樹)