原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定にかかる文献調査が行われた北海道寿都(すっつ)町で15日、地層処分をテーマにした町民向けのシンポジウムを開催した。町民138人が専門家の意見に耳を傾けた。
シンポジウムでは、原子力発電環境整備機構(NUMO)の担当者が地層処分と文献調査の概要を説明した。
専門家の立場で登壇した北海道教育大の岡村聡名誉教授は、フィンランドの地層処分場の取り組みを紹介した上で「寿都町の岩盤は北欧と異なり、全域が強度や透水性など不均質であり、天然バリアとしては不向き」などと述べた。
また、環境地質学を専門とする日本大学文理学部の竹内真司教授は、国内外で確認されたウラン鉱床と地層処分との類似性などを示し「地層処分は技術面だけでは解決できない。社会納得性の醸成が大事だ」などと語った。
片岡春雄町長はシンポジウム終了後に「賛成か反対ではなく、地層処分を自分ごととして町民がどう考えるか」と述べ、複数回にわたり町民対象のシンポジウムを開催する考えを示した。
また、文献調査の次の段階にあたる概要調査について片岡町長は「私が決めることではない。住民皆さんの理解度を含めて判断したい。寿都町は住民投票で答えを出す。その出た答えに私は従う」と述べた。(坂本隆浩)