高校軽音楽部の日本一を決める「第4回全国高校軽音楽部大会 we are SNEAKER AGES(スニーカーエイジ)」(産経新聞社、スニーカーエイジ実行委員会主催、大阪芸術大学など協賛)が22日、グランキューブ大阪(大阪市北区)で開かれる。大会を控え、大阪芸術大学演奏学科の教員らから歌唱や演奏のアドバイスを受ける「サウンドクリニック」が行われた。
関西からは8月の地区グランプリ大会を勝ち抜いた大阪ビジネスフロンティア▽近大付▽阪南大高▽芦間(以上大阪)▽奈良育英▽▽大阪府枚方市立招提中-の6校が全国大会に出場。中学校のエントリーも認めている同大会で、招提中は関西で初の中学校出場となる。サウンドクリニックには5校が参加した。
昨年の全国大会は東京で開かれ、今年は2年ぶりの大阪開催。令和3年に現在の形で全国大会が始まってから関西勢は3連覇中だ。今年も関西勢の強さを見せるか、注目が集まる。
大阪ビジネスフロンティア(関西地区グランプリ)
世界的な大ヒット曲「アイドル」を女子生徒3人のかわいらしさあふれるボーカルで表現した。原曲はデジタルの打ち込みサウンド。リズムや世界観を軽音楽部で表現することは容易でなく、サウンドクリニックでは「デジタル寄りではない、生っぽい音にするといい」と指摘が飛んだ。
部長でボーカルの2年、簾葡月(すだれほづき)さんは「曲中でテンポが変わり、転調も2回している点が難しい」といい「ラップのような部分はあまりなじみがなく苦労した」という。
アドバイスした教員も「曲の構成が難しく、どのパートも技術が必要」と話し「自分以外のパートに引っ張られないで」と声がかかった。パーカッションの3年、笹岡志熊(じうん)さんは「デジタルサウンドに人間の温かみを混ぜ、楽しんでもらいたい」と話した。
近大付(関西地区準グランプリ)
指導では英語のダンスミュージックをどう聞かせ、魅せるかにポイントが置かれた。
講師陣は日本人とは違うリズムの取り方、グルーブ感の作り方などについてパートごとに指導。大阪芸大のポピュラー音楽コース特任講師の仁子孝史(にこたかふみ)さん(41)は「音の長さ、休符などを全員が共有しないと音がぼやけて、パシッと決まらない」とダンスミュージックらしいキレのある演奏に向けて細かい部分を指摘した。
ギターの2年、池柚夏(ゆずか)さんは「裏のリズムの取り方など、どこを練習していけばいいのか分かった」とヒントを得た様子。ボーカルの2年、野口彩乃さんは「表情筋の使い方、英語の子音と母音の強調の仕方など実演を交えて教わり分かりやすかった」とレベルアップを実感していた。
招提中(関西地区・大阪芸術大学賞)
明るい曲調の中で、前半は明るさと元気さをアピールし、後半に入ると青春の苦しみや悩みを表現する。
ボーカルの音の響かせ方や「元気が良すぎて、音が団子状態になっている」といった演奏力、ダンスシーンでの手の伸ばし方といったステージングについて指摘はあったものの、教員たちからは「中学生としてはすごい演奏技術」と評価を受けた。
ボーカルを務める部長で3年の杉本華菜さんは「関西地区の高校生の分も含め、全国で賞を取りたい」と話す。
出場するメンバーは全員3年生で受験を控えている。「平日はみんな短時間で集中して練習を重ねてきた」といい「私たちの頑張りを全国で証明したい」と意気込んだ。
奈良育英(関西地区・入賞)
激しいヘビーメタルの曲を力強い女性ボーカルで彩る全編英語歌詞の曲。譜面は市販されておらず、部員で手分けをして〝耳コピ〟し譜面を起こした。
メインボーカルの2年、札辻千尋さんは、辞書を引きながら歌詞の内容の理解を深めた上で歌唱にあたったというが「英語歌詞なので、歌の表現にストーリー性を出さないと単調に聞こえる」と指摘を受けた。
英語発音の母音と子音の使い分けや口角の上げ方の指導を受け「悩んでいた発声方法は、先生と一緒に歌ってもらえることでコツがつかめた」と喜んだ。
チームリーダーでベースの3年、上村未來さんは「メタルなので楽器全体をアンサンブルにまとめるのが難しい」としつつ、「全国では順位より『強く生きる』というメッセージを伝えたい」とした。
阪南大高(関西地区・入賞)
昭和53年リリースの名曲。メンバーにとって遠い世代のヒット曲に乗り、派手なダンスパフォーマンスで盛り上げる。メインボーカルの3年、立花幹(もとき)さんは「自分たちだけではなく、観客を巻き込んで会場と一体化したい」と話す。
指導した教員らも「勢いがあって面白い。勢いで押し切る中に、お客さんを見る余裕があればより洗練される」と指摘。「ラララ~ララララララ~」のおなじみの部分で、観客からコール&レスポンスをしっかり受けられるよう、この部分に時間をかけるようになどアドバイスを受けていた。
阪南大高が関西地区大会でグランプリに輝いたのが10年前。その際の演奏曲はサザンの「ホテルパシフィック」だった。「サザンの曲で節目を飾りたい」と意気込んだ。
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午後2時15分開演。チケット(1400円)の販売はすべて「イープラス」のサイト(https://eplus.jp/sf/detail/3542850001)で事前販売する。