弾道ミサイルが外国から発射されたと想定した避難訓練が14日、奈良県明日香村で行われた。同様の訓練は全国で行われているが、県内では初めて。10月31日には北朝鮮が新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を日本海に向けて発射したこともあり、住民らは真剣な表情で頑丈な建物などに避難し、窓ガラスから離れて頭部を守る姿勢をとっていた。
訓練は、国と自治体が共同して平成29年から各地で実施。今回は、県が市町村に参加を呼びかけて、同村で行うことになった。
弾道ミサイルが県に飛来する可能性があるとの想定で村民約5200人を対象に実施。午前10時半、Jアラート(全国瞬時警報システム)の模擬放送で「ミサイル発射、避難してください」との防災行政無線が村内に流れ、スマートフォンにも防災情報メールが送信されると、一部の住民らが役場などに避難した。
村立明日香小学校(児童数約230人)では、「窓から離れて姿勢を低くして頭を守りましょう」と校内放送があると、児童たちは一斉に防災頭巾をかぶって机の下にもぐり込む姿勢をとりながら、教室の中央に集まった。
森川裕一村長は「『なぜ明日香村で』と思われるかもしれないが、国際情勢が緊迫する中、どんな危機があるか分からない。まず訓練で体験することが大切」と講評。参加した村総代会会長の石井宏侒(ひろやす)さん(77)は「地震や水害に備えた訓練は何度も経験があるが、ミサイルは状況が異なる。避難時にどう行動するかなどが学べてよかった」と話した。