成田空港の機能充実策を話し合う国と千葉県、周辺市町、成田国際空港会社(NAA)の意見交換会が17日、1年9カ月ぶりに開かれた。空港への交通アクセスの改善や周辺自治体の街づくりを4者で緊密に連携して進めることで一致した。NAAは3カ所に分散する旅客ターミナルを1カ所に集約し、2030年代に供用開始する新たな構想の取りまとめを進めており、7月にも国に提案する。
「成田空港がアジアでこれからも戦い抜いていけるよう、一体的に取り組む」
千葉県の熊谷俊人知事は県庁で行われた4者協議の冒頭、こう強調した。
周辺国・地域が滑走路の新設や延伸に乗り出すなか、成田空港も一層の競争力強化を迫られている。
令和11年3月までにA滑走路(4千メートル)とB滑走路(2500メートル)に続き、新たに3本目のC滑走路(3500メートル)を整備する計画で、B滑走路も1千メートル延伸する。年間の航空機発着回数を現状の30万回から50万回に増やし、高まる航空需要に対応したい考えだ。
これに伴い、空港での旅客受け入れ態勢の強化が急務となっている。そこで、NAAは2020年代後半に新旅客ターミナルの整備に本格着手し、30年代には運用開始するとの青写真を描いている。旅客や貨物施設の整備費用には8000億円程度と見積もる。
こうした施設機能の強化のため必要な人材を確保するには、周辺自治体の協力が欠かせない。この日の意見交換会でも、こうした観点から空港で働く社員が魅力的に感じる街づくりをどう進めるかが議論された。
会合後、NAAの田村明比古社長は「地域としっかりと連携する」と強調した。
周辺自治体側も、地域振興の起爆剤として空港の拡張に期待をふくらませる。
同県成田市の小泉一成市長は「今後、(空港での働き手の)雇用が増大するなか、どう住みやすい街を作るかが周辺の市町の課題だ。情報を共有し、空港へのアクセス(改善)も含め、取り組む」と語った。
世界では空の玄関口の機能強化を、政府が強力に後押ししている。熊谷知事は「政府が国家的プロジェクトとして、成田空港周辺の街づくりも含め、主導的に関わる責任がある」と述べた。(松崎翼)