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フランス菓子のルーツ3通り 地方発・侵略や王族の婚姻で流入・王侯貴族のパティシエから 大森由紀子のスイーツの世界

産経ニュース 2024年9月11日 9時0分

フランス菓子のルーツには、大きく分けて3パターンあります。

まず、土地の素材を生かした郷土菓子が発展したもの。その地方で取れるフルーツを使ったクラフティやタルトなどが該当します。さらに、良質な乳製品を産出するブルターニュ地方の、クイニー・アマンやガレット・ブルトンヌといったバターの風味豊かなお菓子も一例です。

次に、侵略や王族の婚姻によって流入したもの。一時ドイツの支配下にあったアルザス地方には、ドイツからフォレ・ノワールやチーズのタルトが伝わりました。侵攻してきたイスラム勢力と戦った地域では、アラブ菓子の生地が置き土産として残され、現代の折りパイ生地(フィユタージュ)に発展。フランドル地方出身のマルグリット王女がパン・デピスをもたらし、イタリアから輿(こし)入れしたカトリーヌ・ド・メディシスがシュー生地やマカロンを伝えたことは、よく知られています。

さらに、フランス革命の勃発で王侯貴族に仕えていたパティシエが職を失い、町に出て自分の店を開いたことをきっかけに、庶民まで届くようになったお菓子。ババやサントノレがその代表です。

こうして各地で広まった伝統的なフランス菓子は、パティシエたちの創意工夫で次第に洗練され、近代のスイーツに大きな影響を与えています。

大森由紀子

おおもり・ゆきこ フランス菓子・料理研究家。「スイーツ甲子園」(主催・産経新聞社、特別協賛・貝印)アドバイザー。

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