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〝国内最速の女子高生〟ドローンレーサー佐藤姫夏さん、10月の世界大会は「女性1位に」

産経ニュース 2024年7月30日 10時0分

重量1キロ以下、最高時速120キロのドローン(小型無人機)を巧みに操り、タイムを競うドローンレース。国内最速の女性レーサーとして活躍する札幌市の高校2年、佐藤姫夏(ひな)さん(16)が注目されている。さわやかな笑顔を見せながら異次元のスピードでドローンを操縦するテクニックは圧巻。10月に中国で開催される世界選手権に日本代表の1人として出場することも決まっている期待の星だ。

きっかけは父の趣味

姫夏さんがドローンを始めたのは小学5年。ラジコンヘリが趣味だった父、茂貴さん(48)がドローンを購入して練習する姿に「やりたそうな顔をしていた」といい、ホビー用ドローンを買ってもらったという。茂貴さんのレース本格参戦に合わせて姫夏さんも一緒に始めたところ、「めきめきと腕を上げて、あっという間に周りの大人が太刀打ちできなくなった」。

その急成長ぶりを振り返ると、小学6年で初出場したジャパンドローンリーグ(JDL)第6戦(北海道)は登竜門の「オープンクラス」で6位だったが、中学1年で参加したJDL第6戦(愛知県豊田市)で同クラス準優勝を果たすと、中学2年では昇格した「エキスパートクラス」で準優勝。中学3年では同クラスで優勝し、2022年シリーズの年間女性パイロット2位に輝いた。

昨シーズンは最上位の「プロクラス」に昇格。年間6戦すべてで上位8位までの入賞を果たし、JDL2023の年間総合ランキングでプロクラス7位、女性パイロットとしては国内最速の1位に選ばれた。

〝空のF1〟

ドローンは撮影用、物資輸送などに活用できる産業用、ホビー用など、用途に応じて種類が豊富だ。機体サイズもさまざまで一般的な飛行速度は時速70キロほどといわれる。

中でもレース用ドローンは1キロ以下と軽量で、最高速度は時速100キロを超える。パイロット(操縦者)は機体に搭載された小型カメラから送られる映像を専用ゴーグルで見ながら操縦する。コース内にはゲートやフラッグがあり、決められたルートで周回タイムを競う。

6月中旬に北海道で開催されたJDL第3戦。試合直前まで仲間からの声援に笑顔で応えていた姫夏さんだが、ゴーグルをかける間際に表情は〝戦闘モード〟に一変した。座って前かがみの姿勢で操縦するのが姫夏さんのプレースタイル。異次元の速さでゲートを通過するドローン視点の映像が映し出されるモニターを見ると、神経をすり減らしながらタイムを競う様子がわかる。〝空のF1〟とも呼ばれるドローンレースの醍醐味(だいごみ)だ。

「世界でも十分活躍」

今シーズンの姫夏さんのJDL戦績は、4月の第1戦(茨城県鹿嶋市)がプロクラス準優勝、5月の第2戦(埼玉県三郷市)は同6位。6月の第3戦(北海道由仁町)では準決勝に進出して笑顔を見せたが、追い抜かれて8位フィニッシュ。「プロクラスのすごさを感じる」と振り返った。

平日は自宅でパソコンのシミュレーションソフトを使ったトレーニングを重ね、週末の土日は茂貴さんと練習場に通う。屋外練習は貴重な機会で、朝から日没前まで練習漬けだ。

同じチームに所属し、世界大会で優勝経験があるトーマス・ビットマッタさん(25)はコーチ的な存在。「姫夏さんは難易度の高いテクニックにもすばやく適応できる。他の人にはない高い技術があり、世界でも十分活躍できる」と絶賛する。

中国で10月に開催される国際大会「2024 FAI ワールド ドローン レーシング チャンピオンシップ」の日本代表選手に選ばれ、その準備も着々と進む。夢の舞台では「世界戦で女性1位を目指したい」と笑顔で意気込みを語った。(坂本隆浩)

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