好評を博した今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」で、衣装デザインを担当した京都市在住の日本画家、諫山宝樹(たまじゅ)さん(44)が八坂神社(京都市東山区)に来年の干支「巳(み)」を描いた大絵馬を奉納した。書家でもある野村明義宮司(65)が「弥栄(いやさか)」「清運」などの文字を揮毫(きごう)して完成させた。28日から境内に掲出する。
高さ2・7メートル、幅3メートル。薬壺(やっこ)から飛び出した白い蛇がくねらせた体に神社の神紋の入ったお守りをかかえ、口に一輪の花をくわえている。花は境内に咲く「祇園守(ぎおんまもり)」と呼ばれるムクゲの一種だ。
八坂神社の主祭神、素戔嗚尊(すさのおのみこと)は神仏習合思想では薬師如来の化身であると考えられることから、薬師如来の持ち物の薬壺が描かれた。野村宮司が薬壺の中央に、印鑑などに使われる篆書体(てんしょたい)で青く「清運」と揮毫。野村宮司は「来年はいいことも悪いことも進化していく。清らかな運気が白い蛇と一緒に出てきて、それが弥栄につながるようにしたい。それには信仰が大事だ」と話していた。
諫山さんは「祇園守などを盛り込めて楽しく描けた。最後に字を加えていただき、祈りの場にふさわしい絵馬になった」と満足そうに語った。(田中幸美)