Infoseek 楽天

隅田川の夜空に大輪 花火大会、事故防止に観客を「回遊」 外国人対策にも工夫

産経ニュース 2024年7月27日 20時48分

東京・下町の夏の風物詩「隅田川花火大会」が27日、行われ、約2万発の花火が夜空を彩った。会場は来場者が過去最多となった昨年に続き盛況だ。外国人客の姿も目立つ中、警視庁や地元の区役所などは雑踏事故やトラブルを防ぐために多言語の看板や翻訳機などを活用して、観客の円滑な誘導を進めていた。

DJポリス呼びかけ

「警察官の整理、誘導に合わせてお進みください」「立ち止まらず、ゆっくり前にお進みください」

午後5時過ぎ、浅草駅や東武浅草駅のすぐ近くにある「吾妻橋」周辺では、「声の警備」ともいわれる警視庁の「DJポリス」が、通行人への呼びかけを始めていた。打ち上げ開始の2時間前にも関わらず、道路は人でごった返していた。雨が降ったりやんだりする中でも、人が減る様子はない。

警察当局が警戒するのは、多くの人が狭いエリアに集まって発生する「雑踏事故」だ。一昨年には韓国・ソウルの梨泰院(イテウォン)で150人以上が死亡する事故が発生。国内でも平成13年、兵庫県明石市の花火大会で、会場と駅を結ぶ歩道橋で人が倒れ、11人が死亡した。

「多くの人が一斉に動き出したら、止める方法はない」。ある警察幹部は、こう危機感をあらわにする。

隅田川花火大会では事故防止のため、観客は河川敷に入れず、川沿いの商店や住宅が並ぶエリアを回遊しながら建物の隙間から花火を見る形をとる。

要所要所に視界を遮るように幕が張られ、歩くよう誘導。実行委員会の担当者は「広い河川敷がなく、路地も狭い。立ち止まると特定の場所に人が集まって危険なため、移動をお願いしている」と説明する。

看板、翻訳機を活用

課題となるのが外国人観光客の存在だ。日本語での案内が理解できない可能性があるからだ。実行委は、周辺に英語や中国語、韓国語を記載した案内看板を設置。警視庁も、警察官が携帯している端末に搭載されている自動翻訳機を使うなど工夫を凝らす。

人を回遊させる方法は、外国人が多い渋谷のハロウィンやカウントダウンでも事故を防いできた。警察幹部は「積み上げてきた経験を生かして万が一がないよう目を光らせている」と話した。(橋本昌宗)

この記事の関連ニュース