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埼玉・羽生市の「とちぎや」 熱冷一品勝負で68年!ぶっきらぼうな立板も財布にやさしい ビバ!続・うどん共和国

産経ニュース 2024年10月12日 15時0分

埼玉県羽生市にある店内に品書きはない。テーブル上には「並、大、特大、超特大」と書いた紙が張ってある立板がぶっきらぼうにあるだけ。提供するのは、ともにかき揚げを乗せた、冷うどんと汁ありの熱うどんのみ。ただ、並は350円、超特大でも600円と財布にかなり優しい。

「一本勝負」を、68年続けている。評判を聞きつけ、県外からの客も多い。創業したのは先々代の祖父、飯田一(はじめ)さんで、3代目となる現店主の啓之さん(50)は「店にいらしたのをきっかけに羽生を知っていただくとうれしい」と笑顔をみせる。

冷の大を注文。うどんを口に運ぶと塩味がある。汁があるが、そのままでもイケる。武蔵野うどんほど硬くなくもっちり感がある。

かき揚げはネギのみを使う。季節ごとに一番良い産地から取り寄せる。うどんで使う薬味以外の青い部分を使う。無駄のなさが価格を維持できる理由だ。

冷を平らげ、次は熱の並を注文した。汁は関東風の黒色で、かつお節とサバ節を使った汁だという。

■そこそこな歯応えにツルツルすぎず、硬くもなく

初代が栃木県から転居し昭和31年に開業して「とちぎや」と命名。1品で勝負した理由を2代目の進さん(77)は「(縫製屋から転職した)初代が1品しか作れなかったこともあるが、忙しくなったのでそのまま続けた」と振り返る。2代目が強調するのは、塩加減。水に溶いてから入れる。「季節と天気によって塩の分量を変える」と、こだわり続けた。病気で65歳で仕事を引退し、現在は妻のみち子さん(76)と長男の啓之さんで店を切り盛りしている。

みち子さんは、かき揚げ担当。油はコクが出るように菜種油にしている。「私はこのやり方が好き」と、へらを使って丁寧に鍋に材料を入れる。

啓之さんが3代目店主になってから新しい粉選びに挑戦した。「そこそこ歯応えがあって、ツルツルすぎないけど硬くもないぐらい」という感じで作っているのが現在のうどんだ。

店内を見回すと、サインの入ったサッカー選手のユニホームがある。マリッチ、山岸範宏…。サッカー好きの啓之さんが浦和レッズの練習場や試合に足を運んで築き上げた選手との交流の賜物(たまもの)だ。

「小中学校から店に食べに来ていた子たちが欧州やアフリカに学びや仕事に行っている。『帰ってくるまで絶対にやめないで』といわれている。この場所でずっとやっていきたい」と啓之さん。サッカー談義が楽しい。(昌林龍一)

■「とちぎや」

住所:埼玉県羽生市中央1丁目6の14

電話:048・561・1432

■観光メモ 気軽にスポーツとレクリエーションを楽しめる体験型イベント「2024はにゅうスポ・レクフェスタ」(羽生市・同市教委主催)が20日、羽生市体育館と羽生中央公園で開催される。

室内ブースでは、バレーボール、バドミントンなどを体験。パラリンピックで採用された「ボッチャ」など珍しい競技もある。屋外ブースでは、野球、ソフトボール、サッカーなどがある。参加するとスタンプが押され、参加数に応じた商品がプレゼントされる。

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