有害鳥獣による農作物被害が相次ぐ千葉市は16日、イノシシの集中捕獲に乗り出した。被害が深刻で出没情報が多い若葉区と緑区が対象。地元猟友会などと連携し、3カ月間かけてわなの増設を進め、生息域の拡大阻止を図る。
市のイノシシによる農作物被害額は、令和4年度が331万2000円、5年度は551万円と、年々増加している。5年度は有害鳥獣被害全体の約45%をイノシシが占めた。落花生やイモ類が被害に遭うケースが多い。
近年は市街地への出没も増えており、関係機関と協力した捕獲体制の強化を始めた。
16日は、市農業経営支援課や猟友会メンバーら計6人が、若葉区内の出没地域でわなの設置作業を進めた。使用するのは、ワイヤで作った輪を獣道に仕掛け、それを踏んだイノシシの足を捕らえる仕組みの「くくりわな」。薄暗い林道でイノシシの通り道を慎重に判断し、効率良くわなを仕掛けていった。
檻の中に餌を置いておびき寄せ、糸に触れると入り口の扉が閉まる「箱わな」も含め、若葉区と緑区ではすでに計約180基が仕掛けられているが、今回は若葉区内を中心に約70基を増設する。
イノシシは繁殖力が強く、メスは年間平均4~5頭の子供を産むとされる。畑を荒らされるなどの被害を阻止するためには、電気柵の設置や草地の刈り払いとともに捕獲も重要となる。千葉市では昨年206頭を捕らえた。
集中捕獲期間は12月14日まで。取り組みの成果が出れば、期間の延長や来年度の継続を検討する。市農業経営支援課の担当者は「右肩上がりにイノシシによる被害が増えている。わなの数を一気に増やし、さらなる生息域の拡大を防ぎたい」と話した。(松崎翼)