2025年大阪・関西万博の開幕前としては最後となる26日の博覧会国際事務局(BIE)総会で、大阪府の吉村洋文知事と大阪市の横山英幸市長が英語でスピーチした。万博の成功にはパビリオンなどを出展する参加国や地域、国際機関の協力が欠かせず、来年4月の開幕に向けてトップセールスを展開した。
万博の機運醸成に向けて、吉村氏は各地での売り込みに躍起だ。BIE総会のスピーチでは全国行脚に言及し「日本全体で万博ムードが高まるよう取り組んでいる」とアピールした。
11月上旬に宮城県で開かれた北海道東北地方知事会議に出席し、人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)での万博会場の整備状況やパビリオンの内容などを発信。来年3~5月のPR重点期間に合わせ、ポスターの掲示やサイネージの放映といった機運醸成策を紹介し、協力を呼び掛けた。
これに合わせて宮城県と北海道、新潟県を巡回し、各地の知事との意見交換にも臨んだ。新潟県の花角(はなずみ)英世知事との意見交換では、万博会場を訪れた訪日外国人客を、今年7月に世界文化遺産への登録が決まった佐渡金山へ誘客するアイデアなどが話し合われた。
現地参加にこだわり
海外ではこうしたトップセールスの機会は乏しく、今回のBIE総会は参加国に協力を呼び掛ける絶好の機会となる。総会の日程は吉村氏が立候補している日本維新の会代表選の期間と重なったが、吉村氏は「最後は自分でアピールしたい」と現地参加にこだわった。横山氏も12月4~6日の日程で予定される、大阪市との友好都市提携50周年を記念した中国・上海市訪問に合わせ、現地関係者に万博をPRする。
吉村氏は総会出席後、記者団に「休憩時間に多くの人から『期待している』と声をかけられた」と手応えを語り、「毎日のように世界の要人が来る。期間中は大阪が世界の中心になるという思いでやっていきたい」と意気込みを語った。
日本国際博覧会協会の幹部は「旅行者だけでなくビジネス目的で来日する人たちにも万博会場に立ち寄ってもらいたい」と話し、吉村、横山両氏のBIE総会出席の成果に期待感を示した。(山本考志、パリ 三井美奈)