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情報集約の「マイナ保険証」、受診時のさまざまな手続きをスムーズに

産経ニュース 2024年12月18日 8時10分

今月から、健康保険証の新規発行が停止し、マイナンバーカードに機能が移行された。この「マイナ保険証」を使えば、医療機関を受診する際、さまざまな手続きがスムーズになるメリットがある。どんな点で便利なのか。専門家に聞いた。

「薬局ではカードを読み取るだけで必要な情報がすぐ確認できて、処方箋の処理がスムーズに進み、待ち時間が短縮されました」

医療費などの賢い節約方法を指南する日本ライフマイスター協会の薮内祐子理事は、マイナ保険証を使った実感をこう話した。

マイナンバーカードに健康保険証を移行するには、一度だけ「利用登録」が必要で、医療機関に設置された読み取り機やセブン銀行のATMなどから行うことができる。

マイナ保険証の使い方は簡単で、医療機関にある読み取り機にかざし、画面の指示通りに、①本人確認(4桁の暗証番号の入力か顔認証)②医療情報の提供に同意する範囲の選択-をする。ものの数秒で完了する。

多機能が1枚に

マイナ保険証の利点は、健康保険証、お薬手帳に加え、高齢受給者証や高額療養費制度の限度額適用認定証の機能までカード1枚に集約されていることだ。

とりわけ医療費の月々の支払いが、手続きなしで、所得に応じた上限額で済む点が大きい。マイナ保険証になる前は、事前に限度額適用認定証を入手しておくか、しなかった場合は窓口でいったん全額を支払う必要があった。

また、「あまり知られていないが、非課税世帯は申請すれば入院時の食事代が軽減される制度があります。マイナ保険証を使えば、制度を知らずに未申請でも、自動的に適用されます」と薮内さん。

さらに過去の健康診断や治療薬の情報を共有できるので、旅先で医療機関を受診しても、マイナ保険証の情報を医師が参照し、適切な医療を受けやすくなる。また検査や投薬の重複が減ることで、将来的な医療費の削減効果も期待できる。

確定申告が簡便

注意点もある。例えば、医療機関の読み取り機が不具合で読み取れなかった場合は、マイナ保険証と一緒に自治体や健康保険組合から送付された「資格情報のお知らせ」の提示を求められる。マイナ保険証とともに、このお知らせも確実に保管することが大切だ。

マイナ保険証は紛失すると、再発行まで1カ月かかることもある。マイナ保険証への移行を希望しない人は、手元の健康保険証の期限(最長で令和7年12月1日まで)内に、自治体や健保組合から保険証代わりとなる「資格確認書」を入手する必要がある。

これを機に、医療費の節約についても考えてみよう。年間の医療費が10万円を超えた人が確定申告して受けられる医療費控除は、マイナ保険証があれば手続きが簡便にできる。

確定申告で控除が受けられる医療費としてはほかに、市販薬を対象とした「セルフメディケーション税制」がある。年間の医療費が10万円未満で通常の医療費控除を受けられない場合、薬局などで、対象となる市販薬を年1万2千円以上購入していれば申告して税金が還付される。

また、①薬は後発(ジェネリック)品を希望する②時間外加算がある夜間や休日の受診を避ける③入院は月をまたがないように調整する-といった工夫を地道に重ねれば、医療費を節約できる。薮内さんは「あまり知られていない公の制度はいろいろある。使えるものは使って、賢く節約しましょう」と呼びかけている。(田中万紀)

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