2025年大阪・関西万博の開幕まで3カ月を切る中、参加を表明している国・地域や国際機関の責任者らが集まる国際会議が15日、兵庫県姫路市で始まった。開幕前のパビリオン完成に自信を見せる参加者がいる一方、万博運営などへの不満の声もあり、課題が残ることが浮き彫りになった。またこの日、南米パラグアイのサンティアゴ・ペニャ大統領が5月に万博会場を訪問することも判明。今回の万博で国家元首の参加が明らかになるのは初となる。
会議は16日までの2日間開かれ、万博を運営する日本国際博覧会協会がパビリオン運営などについて説明する。
万博は4月13日、大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開幕し、約160カ国・地域が参加。本番前に参加国が集まる最後の機会である今回の会議は、遅れが指摘される準備の加速に重要な場となる。
「パビリオンは3月末までに完成する。開幕に間に合う」(アゼルバイジャン)「3月15日には展示も含めて完成する」(北欧5カ国の共同館に参加するノルウェー)。各国が独自で建設する「タイプA」パビリオンの建設に関し、いくつかの国の担当者は開幕に間に合うことを強調した。
万博会場で、各国が特定の日を選んで自国をアピールする「ナショナルデー」の準備も本格化。トリニダード・トバゴの政府関係者は「スチールパンと呼ばれる伝統楽器を使ったコンサートを開催する」と語った。
ただ、準備は時間との戦いになっている。47カ国が進めるタイプAパビリオンのうち、今月10日時点で建物の完成を示す「完了検査」を通過したのは3カ国にとどまる。
ある欧州の政府関係者は「パビリオン建設と運営準備の双方を行わなくてはならない。負担は大きい」と吐露した。スタッフの宿泊施設が決まっていないという声や、準備遅れから、必要な物資を廉価な船便ではなく、高額な航空便で輸送したとの声もあった。
日本側の万博運営にいらだつ声も聞かれた。複数国の政府関係者が、前売り入場券販売の低迷は複雑な来場予約システムが原因だと指摘。今回、来場日時や訪問するパビリオンも原則、予約が必要で、「こんな複雑なやり方で来場者が増えるわけがない」「海外から来る客は対応できない」などの批判が上がった。
協会幹部は、交通インフラが脆弱(ぜいじゃく)な夢洲は「アクセスの制約から逃れられない場所」だとして、混雑を避けるため予約が必要と強調する。ただ、入場券販売が伸びなければ不満はさらに強まる懸念がある。(黒川信雄)