警察庁長官を27日付で勇退した露木康浩氏(61)は同日、警察庁で離任会見に臨み、職員らに「情勢の変化に機敏に対応し、改革の勇気を失わないでほしい。国家国民の安全のために必要であるなら尻込みせずに改革に挑戦してほしい」との言葉を贈った。
露木氏は昭和61年、警察庁に入庁し、警視庁刑事部長、刑事局長などを歴任。令和3年9月から次長を務め、4年8月、安倍晋三元首相銃撃事件を受けて辞任した中村格元長官から引き継ぎ、要人警護の立て直しを図った。
警備部門にとどまらず、治安情勢の変化や前例踏襲などによって生じる「警戒の空白」を防ぐための体制を構築した。ローンオフェンダーや「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」などの新たな治安課題への対策に取り組んだ。
会見で、長官在任中に印象に残っている出来事を問われた露木氏は安部氏銃撃事件を挙げ、「事件そのものの重要性もあるが、警察の硬直的な組織運営やあしき前例踏襲があった。警護部門の問題だけではなく、組織のさまざまなところに(問題が)潜んでいると認識した」とし、「警戒の空白を生じさせない、病弊を改革する(と考え)、就任後は一連の改革に取り組んできた」と振り返った。
露木氏は「さまざまな課題に終わりはない。日本警察が引き続き、国家、国民のために取り組んでいくことを期待したい」と述べた。