新潟県新発田市に昨年11月にオープンしたバレル(たる型)サウナ「sui(スイ)」。約1万平方メートルの緑豊かな敷地の中で、四季折々の自然に癒やされながら、最高温度110度のサウナと自然の井戸水で整うのが特徴だ。そんなぜいたくなひとときを体験しようと、冬の新発田市へ向かった。
雪が時折降る中、新潟市から車を走らせること約50分、のどかな田園地帯の一角にsuiはあった。敷地は大きな針葉樹で囲まれ、パワースポットのような雰囲気が漂っていた。
運営するのは、香港で日本酒レストランを運営する「アヘッド・オブ・ザ・カーヴ」(香港)。熊谷幹樹(もとき)社長は、日本初の独立系投資信託会社「さわかみ投信」(東京)の副社長でもある。故郷の新発田市を拠点に、新潟の魅力を再発見するプロジェクトに取り組んでおり、サウナや後述する宿泊型レストランの開業もその一環だ。
最高温度110度を体験
屋外のサウナエリアに入ると、大きなスギの木に囲まれるようにウッドデッキがあり、5棟のたる型サウナ小屋が間隔をとって並んでいた。
このうち2棟は、周りを木の板で囲い個室のようにした「貸し切りタイプ」。最大6人まで入れ、家族やカップルなどの利用を想定している。残り3棟は、囲いがない「シェアタイプ」で、一人で来て気軽に楽しむならこちらがお勧めだ。
サウナ小屋に隣接する水風呂は、超軟水の井戸水をくみ上げて使用。「肌に優しく、敏感肌の女性でも安心して入れる」(熊谷氏)という。
さっそく、水着、サウナハット、ポンチョ、タオル一式をレンタルし、サウナ小屋に入った。小屋の内側に使われているヒノキのいい香りに包まれながら、高温のサウナストーンに水をかけ、最高温度110度の世界を体感。体中の毒素が汗と一緒に流れ出ていくような感じだった。
10分ほど汗を流したところで、水温15度の水風呂にドボン。ほどよく体が冷やされたところで厚手のポンチョを着て、ウッドデッキのチェアで〝整いタイム〟(心身のバランスが整う状態)に入った。スギの木に囲まれた空間で森林浴気分を味わっていると、白鳥の鳴き声が聞こえてきた。仕事を忘れ、ずっとここにいたい衝動にかられた。
予約の入り具合は当初の想定を上回る1日当たり30~40人。利用客は30~40代が中心で、新潟市内のほか福島県や山形県からも訪れているという。
気になる料金は、シェアタイプが平日2200円、休祝日3300円。貸し切りタイプ(1棟の料金)は平日1万3200円、休祝日1万6500円で、6人で利用すれば、1人当たり2千円台になる。利用時間は両タイプとも2時間半。
宿泊レストランも
今年5月か6月には、サウナと隣接する場所に、フレンチシェフ・布施真氏が新潟の豊かな食材を使って創作料理を提供する宿泊型レストラン「Né(ネ)」をオープンする計画。宿泊は1日1組限定で、一つの料理ごとに、それに合う新潟の酒を出すペアリングという手法をとる予定だ。
熊谷氏は「Néは海外からの利用を想定している。新潟のすばらしい食と酒を感じてほしい」と意気込んでいる。
(本田賢一)
バレルサウナ「sui」 新潟県新発田市石喜180。営業時間は午前11時~午後8時。月、火曜は定休日。完全予約制で利用は2時間半。JR羽越線新発田駅からタクシーで約15分。日本海東北道聖籠新発田インターチェンジから約20分。予約はHP(https://sui-kwhgs.jp/lp)から。