空き時間に単発のアルバイトを行うスポットワークが急増するなか、給与収入が年103万円を超えると所得税が課され、確定申告が必要になる「年収の壁」への戸惑いの声が広がっている。スキマバイトの仲介アプリを運営するタイミーは、会計アプリ開発を行う会計バンクと業務提携し、スマホで簡単に確定申告ができる専用アプリ「確定申告 for スキマバイト」のサービスを14日から始めた。タイミーのスポットワーカーのうち、約50万~100万人のワーカーが確定申告が必要になるとし、不安解消や申告漏れを防ぐ狙いがある。
タイミーなど大手4社のスポットワーカー(登録者)は9月末時点で約2500万人と、新たな働き方として急速に広まりつつある。
スキマバイトで確定申告が必要なケースとしては、①本業の会社で年末調整をしているが、スキマバイトの給与が年20万円以上ある場合②年末調整をしておらず、本業とスキマバイトを合計した給与収入が103万円を超えた場合③自営業、フリーランスの人がスキマバイトで給与を得た場合―となる。
タイミーで働く人に行った調査では、確定申告について、「調べてみたがよくわからなかった」人は47・8%、「今まで意識したことがなかった」人は37・8%に及んだ。
14日に東京都千代田区で行われた発表会では、アプリを開発した会計バンクの小林紳一常務取締役COO(最高執行責任者)がアプリの機能を説明。確定申告が必要になるまでの残り金額が確認できる年収の壁チェックのほか、源泉徴収票の取り込み、質問に応えるだけで確定申告が行える機能がある。
タイミーの執行役員でスポットワーク研究所の石橋孝宣所長は、1時間から働けたり、履歴書不要、給料の即日入金など、「気軽に働ける環境をつくり、働くことへの心理的なハードルを下げることで、眠れる労働力を起こしてきた」と人手不足が深刻化するなかでのスキマバイトの意義を強調。今回のアプリによって、多くのスポットワーカーが抱える確定申告に関する不安の解消に期待感を示した。
アプリの基本利用は無料で、電子申告は650円。タイミーの推奨アプリとしてタイミーアプリ内での表示やバナー通知で、利用者にアピールする。(本江希望)