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仁王門に人気絵本のサンタが登場 作者・谷口智則さんの原画展も開催 大津・三井寺

産経ニュース 2024年11月21日 20時21分

三井寺(大津市)の仁王門前に、高さ3メートルの巨大なサンタクロースが出現した。絵本作家、谷口智則さん(46)の人気絵本『100にんのサンタクロース』に登場する「おおきいサンタ」のオブジェで、谷口さんがライブペイントした小さなサンタも並び、クリスマスムードを盛り上げている。境内では谷口さんの原画などを集めた作品展が開かれている。12月8日まで。

谷口さんは大阪府四條畷市出身。金沢美術工芸大(日本画専攻)卒業後、平成16年に『サルくんとお月さま』でデビューした。今回の作品展は、絵本作家として今秋で20周年を迎えたのを記念して企画された。

最新作の『かいじゅうのすむしま』を含め、作品はすべて動物が主人公。さまざまな動物を擬人化した「鳥獣人物戯画」に強く魅せられたことが、絵本作家としての原点。黒いキャンバスにアクリル絵の具で表現する独自の技法で、日本画風に描かれた動物たちの世界観は心を揺さぶる。

戯画の名手と伝えられ、「鳥獣人物戯画」の作者説がある鳥羽僧正覚猷(かくゆう)(1053~1140年)が三井寺の長吏(ちょうり)を務めた縁などから、3年前に初めて同寺で作品展を開催。今回は規模を拡大し、絵本の原画や描き下ろしの大型作品など約200点を境内の観音堂書院に並べて展示している。

「鳥獣人物戯画」のような文のない絵本も制作している谷口さんは「動物を人間に置き換えてみると、それぞれのよさがでる。時代が違っても伝えたいことは同じ。古くから物語が根づいている三井寺で、絵の中のストーリーを感じ取ってもらえたら」と話す。

福家俊彦(ふけしゅんげん)長吏は「こういう時代だからこそ、平和や希望のメッセージがいっそう伝わってくる」と感慨深げに作品に見入っていた。

展示初日の11月16日には、谷口さんが仁王門の前でライブペイントを披露。高さ65センチの真っ黒なサンタの造形が、小さい釣鐘のようなベルを持つ「ベルサンタ」に変身し、親子連れらを楽しませていた。

ベルサンタは「弁慶の引き摺り鐘」伝説に寄せて絵本から選ばれ、引き摺り鐘をかぶった三井寺のゆるキャラ「べんべん」がほら貝を吹いて完成を祝った。

仁王門はもとは滋賀県湖南市の常楽寺の山門で、室町時代の1452年の創建と伝わる重要文化財。豊臣秀吉が伏見城に移築し、その後、徳川家康が伏見城から移して三井寺に寄進したとされる。門の左右に立つ「阿吽(あうん)」の金剛力士像にちなみ、おおきなサンタは口を開き、ベルサンタは口を閉じて、阿吽の呼吸を表現した。

作品展は午前10時~午後4時半。入場料は大人500円(中高生含む)、小学生300円で、別途入山料が必要。また、12月1日に京阪石山坂本線で「谷口智則さんと一緒にラッピング電車に乗ろう!」、同8日には作品展の会場で谷口さんのライブペイントのイベントがある。いずれも事前予約制。(川西健士郎)

問い合わせはウメキタホクシギャラリー(06・6359・2005)。

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