夏ごろから、若者を中心に流行しているスイーツ「ドバイチョコレート」。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあるチョコレートメーカーが開発したもので、日本にもわずかながら提供している店がある。SNS(交流サイト)でも話題になっている東京・南青山のカフェ「CAFE N°_5(ナンバーファイブ)」を訪ねた。(堀川玲)
店のオープンは今年1月。メニュー開発を手がけるのは、料理を独学で習得したというオーナーのカ・ダヨンさんだ。
「ドバイチョコレート」(1800円)は、レシピの完成まで1カ月以上かけ、6月から販売を始めた。
「昨年から韓国で流行していたので、日本の方にも食べてほしいと思った」とダヨンさん。
ドバイチョコレートを生み出したのは、その名の通りドバイのチョコレートメーカー「フィックス デザート ショコラティエ」だ。
トウモロコシ粉で
最大の特徴は、中に入っているトウモロコシ粉の乾麺「カダイフ」。すりつぶしたピスタチオとホワイトチョコレートをあえたピスタチオペーストをバターで炒めたカダイフに合わせ、チョコレートで閉じ込める。
ダヨンさんは、北海道産バターを使い、ピスタチオは事前にオーブンで焼いて香ばしさを強めている。ホワイトチョコレートを控えて、カダイフのパリパリとした食感を際立たせているという。
コーティング用のチョコレートは、カカオ分70%以上のビターチョコレート。これを数回に分けて、薄くまとわせる。最後まで甘さに飽きないように、試行錯誤した結果だ。ピスタチオと金粉を散らせば見た目も華やいだ。
咀嚼音楽しむ動画
かじりつくと、ビターチョコレートの上品な香りが漂い、カダイフのザクザクとした歯応えが快い。大胆で、繊細。チョコレートは滑らかに溶け、ピスタチオの風味とも相性ぴったりだ。
ザクザクとした咀嚼(そしゃく)音は「ASMR」と呼ばれる音を楽しむ動画ジャンルでも人気。テークアウトして、配信している人も少なくない。
日本ではなかなか手に入りにくいドバイチョコレートだが、代わりの材料で作って、その雰囲気を楽しむことはできそうだ。
料理研究家の稲垣飛鳥さんは、スーパーの店頭ではあまり見かけないカダイフの代替品に、そうめんやかた焼きそば用の細麺を挙げる。「細くてパリッとした食感がカダイフに似ている」という。
ピスタチオペーストの代わりには、きなこを水と砂糖などで練ったものや、砂糖を加えた練りごまを提案する。中身の味を変えれば和風テイストにもなる。
市販の材料や余った食材で、好みに合わせたオリジナルの〝ドバイチョコレート〟を作ってみるのも楽しそうだ。