北海道猟友会(札幌市)が自治体からのヒグマの駆除要請に原則応じない方向で検討していると一部で報じられたことを受け、公式サイトで「従来通り、要請があれば誠実に対処していく」とするコメントを発表した。道内のヒグマ駆除を巡っては、人手不足や低報酬を理由に一部の猟友会支部で駆除を辞退するケースも出ている。
北海道新聞は14日、「北海道猟友会が自治体からの駆除要請に原則応じないよう、全71支部に通知する方向で最終調整していることが分かった」などと報じた。これを受け、同猟友会は同日、会長コメントを発表。「本会では、従来から行っている市町村からのヒグマの駆除要請については、誠実に対処することとしており、現時点でその方針に変わりが無い」などと説明した。
産経新聞の取材に同猟友会は、「コメントに記載した内容が全て」とした上で、「『年内に理事会を開いて正式に決定する』といった報道もあったが、理事会を年内に開催する予定はない。そもそも、(原則応じないにようにするのか否かについて)議題にも上っていない」とした。
道内のヒグマ駆除では、奈井江町の猟友会が5月、町から依頼を人手不足や報酬の低さを理由に辞退した。同町は出没地の見回りから箱わなの設置、駆除と死骸の解体まで含め、最大1万300円の報酬で協力を求めていた。
ヒグマ被害が増える中、多くの猟友会が高齢化や人手不足に直面しており、同様の事例が続出する可能性があるとされる。
環境省によると、令和5年度の日本国内の人的被害は、把握できる平成18年度以降、過去最多の219人(死者6人含む)。人里へ下りて住宅街で餌を探す「アーバンベア(都市型のクマ)」も増えており、同省は鳥獣保護管理法を改正して市街地での銃を使った殺処分の条件を緩和する方針。