Infoseek 楽天

夏の夜空彩る花火大会 膨らむ開催費、柏など千葉の4市がクラウドファンディング

産経ニュース 2024年7月9日 18時15分

「大輪の華」が夏の夜空を彩る花火大会の季節が近づいてきた。だが、最近の物価や人件費の高騰で大会運営経費は膨らみ、ふるさと納税型のクラウドファンディング(CF)で資金集めに乗り出す自治体が千葉県内でも相次いでいる。苦慮する大会主催者は「大会経費は昨年よりも増える」「予算確保が難しい」と口をそろえ、支援を呼びかける。

背景に物価、人件費の高騰

ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の運営会社「トラストバンク」(東京)によると、ふるさと納税型CFで花火大会の寄付を募っているのは9日現在で全国26自治体。このうち県内は柏、我孫子、佐倉、大網白里の4市に上る。

毎年、手賀沼を会場に柏市と合同で花火大会を実施する我孫子市は、今年初めてCFを導入した。最大の理由は「物価高騰による経費の増大」だ。

同社が運営するサイトを通じて6月3日から募集を始めた。目標額100万円に対し、今月9日現在の寄付額は72万円だ。我孫子市の星野順一郎市長は「(花火大会は)人件費が上がっている。警備費は高くつくが、楽しみにしている人はたくさんいる」と述べ、目標の達成に自信をみせる。

合同開催の柏市は今年もふるさと納税型CFで資金確保に奔走する。昨年は目標額150万円に、932万円の寄付が集まった。今年も既に同額の寄付目標をクリアし、約460万円に達している(9日現在)。

市や商工関連団体などでつくる各地の花火大会実行委員会が最も頭を痛めるのが、警備員を含めた膨らむ人件費だ。ただ、観客の安全を確保するのに、警備員を減らすのは難しい。

むしろ、今月27日に花火大会を開催する大網白里市は昨年大会よりも警備員を倍増させる計画だ。昨年、交通渋滞など一部に混乱がみられた教訓を踏まえた。膨らむ経費の一部は、ふるさと納税型CFに頼る。

有料観覧席増で資金確保も

佐倉市は今夏、市制施行70周年記念の一環で花火の打ち上げ本数を例年よりも約2000発増やす。ただ、人件費や設営費の高騰が重なり、総費用は約8600万円と昨年より1000万円ほど増える見込みだ。このため、同市は有料観覧席を増やし、実行委員会への交付金も一時的に増やすなど資金確保に苦慮している。

千葉の夜空を焦がす打ち上げ花火自体も、膨らむ経費に拍車をかける。

繁忙期を迎えた柏市の花火製造会社の担当者は「円安傾向もあり、全てが昨年から値上がりしている」と指摘する。花火の原料となる酸化剤を含めた火薬代や打ち上げに必要な資材の値上がりに悲鳴を上げる。(岡田浩明)

この記事の関連ニュース