大阪・関西万博の開幕を前に、会場直結の駅として1月19日に開業したばかりの大阪メトロ中央線の「夢洲(ゆめしま)駅」(大阪市此花区)が早くも〝観光地化〟している。まだ一般の人は会場に入ることはできないが、駅の地上出口付近から会場を一目見ようとする人や、新駅自体に興味を持つ鉄道ファンらが連日多く集まっている。
夢洲駅は中央線の西側の終点だった「コスモスクエア駅」から3・2キロ延伸され開業。万博会場の人工島・夢洲につながる唯一の鉄道路線で、開幕後は多い日に1日13万人超が乗り降りすることが想定されている。
万博を運営する日本国際博覧会協会の十倉雅和会長(経団連会長)は30日に大阪市内で行った記者会見で、夢洲駅を視察した感想として「駅構内や改札を出た広場はゆったりとスペースがあり、多くの人が来ても対応できる構えになっていて安心した」と語った。
駅の地上出口を出るとすぐ目の前が万博会場だが、現在はフェンスが設置されており、一般の人はそこを越えて会場に近づくことはできない。場内はパビリオンなどの建設工事の真っ最中で、作業員や万博関係者らは駅出口近くのゲートから出入りしている。
一方、万博開幕の4月13日を前に駅は意外なにぎわいとなっている。駅構内は開放的で近未来感のあるデザインで、地下1階コンコースの縦約3メートル、横約55メートルの大型サイネージ(電子看板)はすでに稼働。中央線延伸の過程を紹介する映像などを放映している。
アルミ素材の天井など見どころも多く、鉄道ファンらが熱心にカメラを向けている。延伸に合わせて導入された、宇宙船をイメージした新型車両もファンの興味を引いているようだ。
地上出口を出ると、万博会場のシンボルである大屋根(リング)や、大阪ヘルスケアパビリオンなどの外観の一部をフェンス越しに見ることができ、一般の人たちがスマートフォンで場内の様子や、会場を背景とした記念撮影を行っていた。
工事が進む会場を見物しようと夫婦で大阪市内から訪れた男性(88)は「万博が楽しみになった。通期パスを買って2回以上行きたい」と笑顔。一方で女性(85)は「会場が見られて満足した。入場券が高く感じるので、開幕して実際に行くかどうか考えたい」と話していた。
夢洲では2030年秋にカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業が計画されており、駅はその玄関口にもなる。(井上浩平)