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安倍文殊院、本尊の文殊菩薩に免震装置 獅子から降りた姿で参拝

産経ニュース 2024年7月3日 9時42分

奈良県桜井市阿部の安倍文殊(もんじゅ)院(植田俊應貫主)の本尊「渡海(とかい)文殊群像」(国宝)に免震装置が取り付けられることになり、中央に安置されていた文殊菩薩(ぼさつ)像が獅子から降ろされ、本堂で2日、法要が営まれた。同像と獅子が離れるのは平成21年の調査以来15年ぶり。来年5月末まで獅子から降りた姿を参拝できる。

文殊菩薩像は鎌倉時代初めの建仁3(1203)年に仏師・快慶が制作し、右手には「降魔(ごうま)の利剣(りけん)」、左手には慈悲・慈愛を象徴する蓮華(ハスの花)を持っている。高さ約3メートルで、獅子に乗った状態では約7メートルにもなる。

ただし、文殊菩薩像と獅子を固定する部材がなく、地震などで転落する危険があった。同寺では、文殊菩薩像の両脇に立つ善財童子(ぜんざいどうじ)像など計5体からなる「渡海文殊群像」の土台に免震装置を取り付けることになった。

植田貫主は「地震が各地で多発する中、国の宝である仏像を後世に残さないといけない。文殊菩薩が獅子から降りたことで参拝者と同じ目線になり、仏とのご縁を結んでいただければ」と話した。

同寺では、江戸時代に建立された本堂の耐震工事などを含めて2年かけて行う予定。総事業費は2億5千万円で、幅広い寄付を呼びかけている。

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