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後手に回る万博協会 前売り入場券の販売は目標の3割 大阪府市は利便性向上求める

産経ニュース 2024年8月22日 7時30分

2025年大阪・関西万博の入場券は、昨年11月に電子チケットの前売りが始まった。ただ購入に必要な「万博ID」の登録に際し、本人認証手続きが難しいなどの意見が続出。運営主体の日本国際博覧会協会(万博協会)は簡易な認証方式を追加で導入するなど、対応が後手に回っている。

協会は当初、万博を機に日本社会のデジタル化を進めるとして、電子チケットのみでの入場券販売を決定。一方、大阪府の吉村洋文知事はインターネットでの手続きに慣れない高齢者らの声を受け、紙チケットの導入を6月の協会理事会で提案し、決定された。

協会は来年4月13日~10月13日の会期中に約2820万人の来場を見込み、前売りの目標を1400万枚と設定するが、今月14日時点の販売枚数は目標の3割にあたる約424万8千枚にとどまる。

販売目標のうち、万博の運営に参画する経済団体の働きかけにより、企業が約700万枚を購入する予定だ。現時点の販売実績では大半を企業が購入しており、個人の購入は伸び悩んでいる。

一方、開幕半年前の今秋からは入場日時などの予約受け付けを開始。これに合わせて参加国などが具体的な展示やイベントの内容を発信する。

協会の担当者は、この節目を「PRイベントなどで入場券販売を加速させる重点期間」と強調。予約不要の紙チケットもコンビニなどで発売し、目標達成を目指す。

万博を巡っては国と府・大阪市、経済界で分担する会場建設費や、入場券収入などで賄う運営費が、資材価格や人件費の高騰で相次ぎ増額。予算執行を管理する組織や会議体が、増額方針の決定後になって立ち上がってきた経緯がある。

運営費で赤字が出れば新たな税負担となる可能性もあり、吉村氏は「収益がなければ支出もできない」として、協会に対し、入場券の購入や利用に際して利便性を高めるよう求めている。(山本考志)

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