1月29日に惜しまれながら引退した東海道・山陽新幹線の点検車両「ドクターイエロー」(T4編成)の洗車を体験するイベント「おつかれさま!ドクターイエローおそうじ体験イベント」が1日、JR東海の大井車両基地(東京都品川区)で行われ、鉄道ファンや家族連れが別れを惜しんだ。
ドクターイエローは「電車のお医者さん」として知られ、目撃機会の少なさから「見ると幸せになる」という都市伝説まで生まれた。今回のイベントは、JR東海が「ドクターイエローに慣れ親しんだお客さまに感謝の気持ちを伝えよう」と企画。約2万人の応募者から抽選で選ばれた約200人が参加した。
この日は6回に分かれ、車両との記念撮影や車内見学、清掃体験が行われた。T4編成は引退後、先頭車両がJR東海の展示施設「リニア・鉄道館」(名古屋市港区)に展示されることが決まっており、今回が編成として最後の一般向け公開となった。
参加者は清掃員から掃除方法のレクチャーを受けた後、ドクターイエローの絵柄が描かれたスポンジなどで車体側面を念入りに洗浄した。
埼玉県ふじみ野市から訪れた、川久保雄星君(9)は「かっこよかったです。今まで色々な場所を点検してくれてありがとうと伝えたい」と話した。
ドクターイエローT4編成は新幹線「700系」の車両をベースに開発され、2001年に導入された。05年にデビューしたJR西日本所属のT5編成と2編成体制で東京―博多間を走行し、レールや電気設備を検査してきた。ダイヤは非公開で、めったに見られない特別な車両としてファンに愛された。
JR西日本のT5編成は令和9年を目途に引退予定。(文・写真 鴨志田拓海)